中堅エンジニアの3人に1人は、独立・起業・経営者を志す

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理工系の新卒学生たちは、ほとんどがスペシャリスト志望

当サイト発行人の宮﨑です。今日はエンジニアのキャリア途中における志向の変化についてお話ししたいと思います。私はリクルート社で長年に渡り、およそ100社のクライアントに対して理工系採用のコンサルティングを行ってきました。また、ここ数年はエスユーエスの200人を超える新卒採用の責任者として毎年相当数の理工系学生に接しています。私が彼ら彼女らとの接点を通じて日々実感していること、それは就職活動をしている段階の理工系学生には「自分が将来どのようなキャリアを歩みたいかを、真剣に考えている人はあまり多くない」ということです。

ほとんどの学生の方が、エンジニアとして生涯に渡って現場の最前線でものづくりをしていくのだろうと、ただ漠然と考えています。もちろん、いずれはマネジメント層を目指したいと考えている人や将来のスタートアップや独立を視野に入れている人もいるにはいますが、私の感触では多くて2割というところです。特に、DISCO 社が実施した学生モニター調査結果(2020年1月)によると、新卒の理工系学生の中で「いずれは起業・独立したい」と回答したのはわずかに5.7%。男子だけに絞っても6.3%でした。

まだ実社会で働いたことがない段階で将来のキャリアビジョンを明確に持つことは難しいことは理解できます。ただ、エンジニアのキャリアには「将来に必ず訪れる現実」があります。その時に備えてできるだけ早い段階から意識を持ってもらいたいというのが、私がお伝えしたいことです。

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出典:【DISCO Weekly News】キャリタス就活2021 学生モニター調査結果(回答数:1,248人)

30歳前後のエンジニアのうち、スペシャリスト志向は3人に1人だけ

ここに古くはあっても興味深いデータがあります。参考になるので引用させていただきました。表2はリクルート社が運営する「Tech総研」が2004年に実施した25~34歳のエンジニア850人を対象にしたアンケートです。これによると、将来のキャリアプランとして「専門職となって技術の道を極めたい」と答えた人はIT系エンジニアで27%、機電系エンジニアで36%。「管理職となって、人材マネジメントをしたい」と回答した人はIT系で30%、機電系で21%。そしてなんと、「フリーになって、自由な働き方、高収入を目指したい」「自分の会社を起業して、成功したい」「会社の経営層を目指したい」の3項目を合わせた数は、それぞれ31%と35%にものぼるのです。

ざっくりとではありますが「スペシャリスト志向」「マネジメント志向」「起業・独立・経営志向」は1:1:1に分かれていて、先ほどの新卒学生と比較すると違いは明確です。働き始めて数年が経ち30歳前後にもなると先輩たちの姿から、将来自分が歩むべき選択肢が見えてきます。それと同時に、自分の願望や適性もだんだんと明らかになっていきます。このデータこそが「将来に必ず訪れる現実」なのです。

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出典:Tech総研「管理職vs専門職“どっちが幸せ”エンジニア35歳の決断」(2004年:25~34歳のエンジニア850人対象)

エンジニアは35歳までに大きな選択を迫られる

ほとんどのエンジニアの場合、35歳前後で分岐点がやってくると言われています。大手メーカーや大手S.l.erでは、生涯に渡ってずっとスペシャリストとしてものづくりの最前線に残れる人は、現実はあまり多くいません。「もっと現場にいたかった」とこぼしながら管理業務などに移って行く人や引き続き最前線で働ける職場を求めて転職を考える人も出てきます。

一方で、30歳くらいになると、学生時代にはまだ自信がなかった自分の技術が社会で通用することに強い自信が生まれています。また、周囲では管理職となって活躍する先輩や独立を果たす人たちがいて、「あの人にできるのなら自分だって」と思うこともあるでしょう。近年はIT技術が猛スピードで進化していること、そして政府が提唱する「働き方改革」の導入によって、スタートアップやフリーランサーを目指す人や経営者志向をもつエンジニアの割合はさらに増えていくことが予想できます。

そもそも進路選びで理工系に進んだ人たちの心の中には「いつか自分だけのものづくりがしたい」「世の中にない新しいものをつくりたい」といった気持ちがあったはずです。その原点を考えれば、将来の起業や独立などを自分のキャリアの選択肢に入れておくのはごく自然なことです。いずれにしろ、35歳前後でやってくる分岐点に向けて自分は将来どんな道を歩みたいのか、そのために今どんな経験を積んでおくべきなのかを考えながら20代を過ごすことは、一人のエンジニアとして有意義なキャリアを築く上で非常に重要です。

(社内のエンジニアの声)

Aさん(35歳)
どちらかというと人と話すのが苦手でスペシャリストを目指したのですが、今はチームで働くのが楽しいです。学生時代には想像もしませんでしたが、将来はマネジメントができればと思っています。

Bさん(40歳)
学生の頃から自動車が好きで、自動車メーカーに入社しました。30代後半で現場を離れて管理職になりましたが、やっぱり最前線でものづくりがやりたくてアウトソーシングに転職しました。

Cさん(30歳)
IT企業ででプログラマーをしていました。自分のテクニカルスキルに自信も生まれたので、フリーランサーを目指しています。今は、独立する前にいろんな職場を経験した方がいいと考えてアウトソーシングで働いています。

20代でリーダー経験をすることで自分の進路が見えてくる

私が20代エンジニアの皆さんにぜひ提案したいのは、20代のうちにリーダー経験をしておくことです。スペシャリストかゼネラリストか、あるいは独立や起業か。将来どの道に進むべきかの判断基準として、リーダー経験をしてみないと自分の適性がわからないからです。

「私はリーダーには向いていない」と最初から思い込む必要はありません。やってみると自分でも驚く成果があがることも多々あります。はじめは小さなプロジェクトで構いません。チームのリーダーとなって仲間と困難を乗り越えていくことに達成感と充実感を感じればより大きな舞台を目指せばいいし、自分にはやっぱり向かないなと感じたらスペシャリストとしてのキャリアを築けばいいのです。

そして将来マネジメント職や独立・起業を目指すなら、リーダーシップスキルは絶対に必要な要素です。またスペシャリストとして生きる場合も、リーダーを務めた経験から得られるものは決して少なくはないはずです。目の前にリーダー経験ができる機会が訪れたなら、積極的に手を挙げることをお勧めします。

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多様な職場でのリーダー経験が将来の選択肢を広げる

一口にリーダー経験といっても、さまざまなケースがあります。例えばスピード重視の職場もあれば、品質重視の職場もあります。また、スタンドプレーが強い組織もあれば、チームワークを大切にする組織もあります。同じ家電業界でもソニーとパナソニックではまったく違うカルチャーがあり、価値判断の基準も違っています。私自身の経験で言えば、リクルートと今のエスユーエスでは仕事の進め方も風土もまったく異なっていたので、転職当初は七転八倒しましたが、その経験が私自身のマネジメントの幅を大きく広げてくれました。

可能ならさまざまな企業風土や文化の中でリーダー経験をできた方がいい。私が役員を務めるエスユーエスには、さまざまなクライアント先で働く正社員エンジニアが1400人ほどいて、20代のうちに3社4社と異なる企業で働いています。彼ら彼女らを見ていると、新しい企業で就業するごとに階段状に成長していくことがわかります。もし異なる職場でリーダー業務を経験することができるなら、それはあなたのビジネスパーソンとしての幅を拡げてくれ、より将来の選択肢が広がることは間違いありません。

(E-30!!!発行人 宮﨑)