株式会社エスユーエス
事業開発部
室橋 杏奈(Murohashi Anna)
2020年4月入社。VRイノベーションアカデミー(VRIA)の1期生としてVR技術を学ぶ。卒業制作と並行して学校紹介等の『VR動画』制作に携わり始めると、自らさまざまな制作ツールの操作法を学んで主戦力へ。今年1月より事業開発部にて『VR動画』チームのまとめ役に。
手を挙げたVRIA研修は苦労の連続。正直「投げ出したい」と思った。
―就活ではなぜIT業界を志したのでしょうか。
社会に必要とされる技術さえあれば、転職しても、たとえフリーになっても食べていけるだろうと考えたんです。中でもエスユーエスを選んだのは、選考を通じて社員同士の人間関係の良さを感じたから。余計なことに神経をすり減らさず、スキルを高めることにだけ集中できそうだと思いました。
―どんな力を着けたかったのでしょう。
具体的にやりたいことはなくて、「なんでも挑戦!」という気持ちだけでした。そんなときに会社からVRIA一期生募集の声かけがあったんです。大好きな有名テーマパークのアトラクションでAR/VRの表現に感動していたこともあり、「願ってもないチャンス!」とすぐに手を挙げました。
ただ、作る側としては完全未経験のド素人。3Dアニメーションのモデリングはとても楽しかったのですが、後半に進むにつれ講義についていけなくなっていきます。特に、C#のコード記述は全然わからずぼう然としました。
―それではどうされたのでしょう。
フルリモートの講義は終了後にその動画が共有されるので、それを一時停止しながら何度も見返しました。次々に出てくる疑問は同期にチャットで聞いて、それでもつまずく箇所はメモに箇条書きにして、出社日にまとめて質問して解決していました。
正直、投げ出したいくらいに苦手意識が高まって、大学時代の友人に弱音を吐いたこともあります。でも「そんな環境を与えてもらえるなんて羨ましい。頑張りな!」と励まされると、「何とかやり遂げたい…」と強く思いました。
VR動画制作に携わり始め、あらゆるツールを自ら学んでいった。
―研修の最終段階では、会社が受注した案件も手掛けられたとか。
研修5ヵ月目から、学校紹介のVR動画制作に携わりました。ちょうど研修修了に向けたチームでの卒業制作と重なるうえ、手掛ける動画は2本。最初はどう時間配分して取り組めばいいのか悩みました。そのうちお客様から次々に修正指示が届き始めると考えることの多さにパンクしそうになりました。
それでも「お客様は何を望んでいるのか」「どんな対応を喜ばれるのか」など、実践して初めてみて分かることばかりで面白いんです。受注案件を優先しつつ、卒業制作の進捗はグループチャットで逐一確認して担当箇所を進める1ヵ月半。3月末に卒業制作とほぼ同時に学校への納品を終えました。
―初めて納品物を仕上げたお気持ちは?
「よく頑張った自分!」(笑)。
わからないことだらけで先輩に質問をしまくって、VRIAの同期にも作ってみた動画に関して意見を聞きました。伝わりやすさや細かなニュアンスまで、みんなに助けてもらって完成させることができて、スゴイ達成感でした!
―その後も次々と動画を手掛けていかれますね。
営業さんに代わってお客様情報を調べたり、商談に同行したり、絵コンテを描いてプレゼンしたり。「BGMをつけたい」「エフェクトを入れたい」―。そんなご要望を受けて動画制作に使えそうなソフトを片っ端から学んで、できることをどんどん増やしました。
―本当に努力家ですね。
「ご要望に応えるには?」とさまざまな方法を試すうちに「これは自分のモノにしたい!」と思う技術に出合えるんです。たとえば、Illustratorの『アイソメトリック』技術での3Dマップ作りには夢中になりました。終業後に時間も忘れて没頭し、気づけば夜中の2時なんてことも。
仕事で使えるレベルまでスキルを高めると、営業さんにプレゼン資料にも加えてもらいました。幅広い技術を提案できることは会社にとって「武器」になりますし、お客様も喜びます。何より私自身の市場価値を高めて、商談の「交渉材料」になれる人材になりたかったんです。
初めてのリーダー役を。「私には無理かも…」と落ち込んだ。
―営業さんも心強いでしょうね。
「ここまでやってくれたら安心だ」と言ってもらえました。そして入社2年目の昨年12月、総合大学のVRキャンパスツアー動画という大型案件が舞い込むと4名の制作チームが編成され、思いがけずそのまとめ役を任されました。
―初めてのリーダー経験ですね!いかがでしたか。
大変でした。動画案件に初挑戦の方が2人いたのですが、「入社2年目の私が偉そうなことは言えない」と気後れして、指示や指導もうまくできません。全員がリモートの中、電話やチャットのやり取りでは動画イメージを伝えきれず、納期まで1週間を切っても完成の目処が立たない。結局2人の作業全てを引き取って一人必死に残業です。「まとめ役なんて無理かも…」という想いが頭の中をぐるぐる回りました。
ところがそんな中の今年1月に事業開発部に配属されると、上司に改めて「チームを引っ張ってね!」と声を掛けられたんです。
―そうだったんですね。どう思われましたか。
メンバーの中では私一番経験が長いですから「やるしかない」です。肩ひじ張っても無理だと悟って、あくまでもチームを支え、困ったときには手を差し伸べて後輩の力を伸ばしていけるような存在になろうと考えました。
―たとえばどんな風に?
「話しづらい」というのが何よりダメだと痛感していたので、まずはとにかくコミュニケーションを取り、後輩の方から気軽に声をかけてもらえる関係作りです。先輩たちにも頻繁にアドバイスをもらって進捗が一目でわかるガントチャートも作って、『伝え方のコツ』みたいなネット記事も読み込みました。いよいよ「伝わらないな…」と感じたら2人で相談して出社し、顔を合わせて打ち合わせしました。
自分にも案件がひっきりなしに舞い込んで余裕がない中でも、常に後輩の顔色や声のトーンには気を配りました。残業量が増えてきたときは、上司に伝えて仕事の割り振りを一緒に考えてもらったりもしました。
スキルに自信がつくと、「やりたいこと」が見えてきた。
―チームは上手く回り始めましたか?
半年が立つ今でも試行錯誤の連続です。でも「伝わった!」と思う瞬間は確実に増えてきています。相談して作り上げたものがイメージ通りだったときは本当に嬉しいですね。
後輩もますます技術を高め、的確でスピード感ある仕事をしてくれていて、私の方が刺激を受けています。楽しみながら力をつけてくれていますね。
―室橋さんご自身はどうですか?
入社2年半で、2Dを含めた動画制作に関しては「何があってもこの技術で食べていける!」くらいの自信はついてきました。そして「やりたいこと」も出てきたんです。
―それは何ですか?
動画の中でもよく使う3Dアニメーションのモデリングです。VRIA研修でも楽しかったですし、先ほどお話した『アイソメトリック』技術もそのひとつなんですが、モデリング専用の『ブレンダー』というツールを触り始めて、今は結構ハマっています。
そして少しずつスキルも高まってきたので上司にも希望を伝えると、いよいよモデリング案件に携われそうなんです。動画制作チームも人数が増えてきましたし、後輩たちを支えながら、本格的にモデリングに挑戦していければ嬉しいです。
―「自ら考え、調べ、学び、発信する」。そんな室橋さんのような働き方はどうやったらできるのでしょう。仲間へアドバイスをお願いします。
私自身、その意欲が出てきたのはVRIA研修を受けたことがきっかけなんです。その延長で動画制作に携わり始めて「ご期待に応えたい!」と思って初めてさまざまなツールを学んで楽しさを見つけ、「これをやってみたい!」と言えるようになりました。だから大切なのは「とにかく携わってみる」こと。意に沿わなくても苦手でも与えられたチャンスは掴んでみる。そうすればそこから新たな世界が開けるんだと思います。
(E-30!!!編集部)