株式会社エスユーエス
関東第二ソリューション部
福田 結友(Hukuda Yu)
2019 年4月入社。学校紹介等のVR動画制作に立ち上げから携わったメンバー。制作リーダーとして後輩育成に力を尽くすかたわら、XRの自社オリジナルサービス開発にも従事。クライアントワークにおいても、XR領域の社内の第一人者として開発リーダーを務め、チームをけん引している。
業務に忙殺されメンバーのサポートもままならない状況に、自信を失いかけました
―VRエンジニアを志したのはなぜですか?
入社すぐの就業先でフロントエンジニアとして初めてUnityに触れ、VR機材の検証を行う別部隊の方々と交流するうちにその面白さに目覚めました。
コロナ禍で待機となった入社2年目からは仲間と集ってVR勉強会を開始。やがて会社から声がかかってVRIA研修で本格的に学び始めると同時に、お客様向けのVR動画制作にも携わることになったんです。
―高校や大学のオープンキャンパス等のVR動画ですね。最初は制作を一人で手掛けられたとか。
会社としても初めての取り組みなのでトライ&エラーの繰り返しで、何ごとも大変でした。VRIAの講義動画を見て研修課程の消化も行わないといけなかったので、作業時間の確保も難しかったです。数ヵ月してチームに2名の後輩が入ってきたときはホッとしました。
―福田さんが制作チームをまとめられたんですよね。
なるべくサポートしたくても、受注量をさばくためにはすぐに案件を渡していくしかありません。慣れないリモートワークの中、多い時には3人で5~6本の案件を抱え、進捗確認のたびに遅れが発覚して大慌てしたり、お客様からの追加要望に青くなったり。
自分の業務を一旦置いて急遽後輩のフォローに入り、作業内容の確認や調整をしながら「後輩たちにもっとわかりやすい指示を出せたら…」と悔しさが募ります。その多忙さにチームをまとめることに自信が無くなっていきました。
―なぜあきらめなかったんですか?
上司が「次はXRコンテンツ開発も任せたい」とビジョンを示してくれたのが大きいです。「チームをまとめ上げた実績を持って次に進みたい」と覚悟が決まりました。それに学生時代からさまざまな場面でリーダーを務めてきたこともあり、やっぱり頑張っているメンバーを途中で放り出したりはしたくなかったんです。
作業負担を減らす代わりにコミュニケーションに力をいれました
―どのように動き始められましたか?
進行管理スタッフや新メンバーも加わって少し落ち着いた頃からタスク管理ツールで工程を可視化し、定型作業を自動化したり、マニュアルを整備したり。新人向け研修動画をつくって指導も効率化し、みんなの作業負担を減らしていく代わりにチームコミュニケーションに力を入れました。
―具体的にはどんな風に?
業務中も気軽に相談しやすいように常にオンラインでつなぎます。それぞれのスキルレベルを考慮しながら報告を聞き、後輩自身が考えて答えにたどり着けるように質問を繰り返しながらアドバイス。できるだけ一人ひとりの希望や得意が活かせる案件へのアサインや業務分担も行いました。
ときには学校で講師もする知人に勧められたマネジメント本を読んだり、営業の方にも後輩それぞれのキャリアパスを相談したり。やがて動画制作に手応えを感じてさまざまな手法を自ら提案し、主体的に学んで圧倒的に成長するメンバーも出てきたんです。
―次のリーダー候補ですね!
はい。一歩抜きん出たその後輩には総合大学のVRツアーという大型案件が入ったタイミングで4名の制作チームのまとめ役をお願いしました。
「後輩指導は苦手です…」と言いながらも懸命に取り組む彼女になるべく声を掛け、出社日を合わせて直接会って相談にも乗ります。工程管理や各種調整、上への掛け合い方なども助言しながらリーダー業務をサポートしていきました。
―福田さんご自身の業務はどのように変化していきましたか?
動画制作にも携わるかたわら、徐々に自社オリジナルXRコンテンツの開発に軸足を移していきます。XRチームのリーダーとしても課題の洗い出しやタスク管理、技術検証などに取り組んでいきました。
力不足を痛感した苦い経験を経て、技術力を高めチームをまとめました
―会社としても初のXRのクライアントワークにも、福田さんが一人で臨まれたんですよね。
外車メーカーのARコンテンツ開発に取り組みました。お客様が求める理想に対し、現在の技術で実現可能か、どこまで近づけられるか、どう作るのか。すべてゼロから考え調べながら、約3ヵ月での納品を目指しました。
―納得いくものはできましたか?
機能的には希望通りだったはずなのですが、納品時のお客様の反応は微妙で、次にもつながりませんでした。「もっとお客様の立場に立って、デザイン性や使いやすさも考えるべきだった」と悔いが残り、技術面も含めて力不足を感じました。
―苦い経験ですね。
はい。技術については勉強するしかありませんから、VR系のまとめサイトを漁ったり、海外の技術者のSNSをフォローしてトレンドを追ったり。あとは案件で触れたツールや上司が「面白いんじゃない?」と探し出してきた新技術でコンテンツを作り込んで知見を深めました。
さらに、チームで臨むことになった次のXR案件からは、顧客情報を事前に調べて契約前の商談にも同席し、開発中も直接お客様と話して方向性を修正しながら進めました。メンバーとお客様との打ち合わせにも必ず一緒に入り、説明や報告は任せつつもいざという時にはすかさずフォロー。やり取りが終わった後はメンバーを集めて要点の伝え方を指導したり、認識を共有したりしました。
―それでうまく行きましたか?
やっぱりお客様の要望を正確に理解し、チーム全体へも浸透させて開発を進めていくのは難しかったです。
そんなときに誘われたのが社内PM研修。喜んで参加してそこで出会った先輩にもアドバイスを求めました。提案資料も上司に相談し、過去のものを参考にしながらお客様との齟齬が起きないよう丁寧に仕上げます。指示を出すときはお客様の意図が伝わるようメンバーの経験値に沿って言葉を選び、行き違いがあったらなぜそうなったかを考えて次へ活かしました。
チームでやるから達成感が違う。みんなで面白いものをつくり続けていきたい
―その成果は感じていますか?
プロジェクトごとに反省点はあります。でもお客様に「使えるね」「面白いね」と喜んでいただけるものも納品できるようになってきました。メンバー同士が「開発が楽しかった」と喜び合い、デバイスや新技術の話で盛り上がる様子を見ると「XRチームも着実に力をつけてきたな」と感じます。
お客様とのやり取りをメンバーに任せられることも多くなりました。動画チームも含めてお客様先で活躍する後輩も多くなって、お客様対応の様子を覗いたり、社外評価の高さを垣間見ると「成長したなあ」と感慨深いですね。
―動画チームのリーダーを任せた後輩はいかがですか?
「あのとき任せてよかった」と心から思える成長ぶりです!スケジュール管理や顧客対応など隅々にまで意識を張り巡らせてやっているなと感じます。そのイキイキとした姿は「後輩指導が苦手」と言っていた頃からは想像できません。
―リーダーを務めたからこその喜びがたくさんありますね。
やっぱりチームでやると達成感が段違いです。プロジェクトごとに「連携がうまくいったな」「メンバーがグンと伸びたな」と技術面以外の+αのやりがいがとても大きいですね。
最近はリーダー経験を振り返って資料にまとめ始めました。これが少しでも次に続く方の役に立てば良いなと思っています。
―今後の目標を教えてください!
たくさんの人材の中で「この人にリーダーを任せたい」と思ってもらえるのはすごくありがたいことです。苦しいこともあったけど、頼りがいあるメンバーに出会えました。いつか優秀なメンバーたちと一緒にリアルで壮大なARコンテンツを作るのが今の大きな夢です。やっぱり技術が大好きなメンバーと議論し、それぞれ得意分野を活かし合えるのが本当に楽しいんです。VRチームをもっと大きくして、切磋琢磨しながら世の中が驚くような面白いと思えるものを作っていきます!
(E-30!!!編集部)