『Step for Leader 勉強会!』Vol.1                                 「上を目指したい!」。23歳で強く意識し、勉強会を主催して手に入れたい力を高めた。

株式会社エスユーエス
関西第二ソリューション部 
中山 克己(Nakayama Katsuki)

2016年4月入社。独学で手に入れたUnity技術でカーナビ設計から最先端研究開発へステップアップすると、次はリーダー経験を積もうとUnity勉強会講師へ挑戦した。現在は、試行錯誤しながらオンライン勉強会を継続しつつ、VRエンジニアとして活躍中。

 

 

激務から抜け出すために自ら行動!自己学習に力を入れ、Unityも学び始めた。

―今ではVRエンジニアとして活躍し、3Dゲームエンジン『Unity』勉強会を主催される中山さんですが、Unityは完全な独学だそうですね。

はい。ゲームエンジニアの夢は学生時代にあきらめ、入社後に配属されたのもオープン系のシステム開発。メイン言語はC++やJavaで、Unityには縁がありませんでした。入社1年が経った頃から、実務とは関係なく本当に個人的に学び始めたんです。

―何かきっかけがあったのでしょうか。

入社からずっと同じエレクトロニクス企業で車載システムの短期プロジェクトに携わっていたのですが、スキルが身に着いて数ヵ月で現場を移るごとに、仕事量が増えていく一方。残業で終電帰りが続くうち、心も身体も辛くなっていきます。この状況をなんとか抜け出せないかと考え、「流されていないで、自ら行動しよう」と決めたんです。

―それでUnityを学び始めた?

最初は、入社時からなんとなく参加していたC++勉強会に真剣に取り組んで自分をアピールしようと考え、自己学習課題としてC++を使った簡単なゲームを作り始めました。それがけっこう面白くて、やがて休日に自宅でプログラミングするのが習慣になっていきました。そのうち、「どうせなら一度はあきらめたVRゲーム制作にUnityで再挑戦しよう」と思い立ったんです。

VRヘッドセットとハイスペックPCは、思い切ってボーナスで買い込みました。勉強会の課題と並行して初心者向けテキストのページを行ったり来たりしながらUnityを触り、夢中になって気づけば数時間経っている。月20時間以上は自己学習につぎ込むようになっていきました。

―それで状況は変わっていったのでしょうか。

すぐに変わることはありません。でも、学び続けて1年弱が経った頃、次のプロジェクトへの面談時に、たまたま先方担当者にスキルシートのUnityの記載が目に留まったんです。そして、3D顔認証と連動した音声認識車載システムの先行開発プロジェクトへのアサインを提案されました。もちろん快諾。画像認識のアルゴリズムなど格段にレベルアップした開発にワクワクが止まりませんでした。

Unityの操作画面

 

 

父や祖父の死をキッカケに上を目指すことを強く意識。勉強会講師へも挑戦。

―スゴイ!Unityが最先端開発への道を開いて、いよいよ勉強会講師にも挑戦されるんですね。

実は、この仕事で大きくステップアップがあった23歳のとき、父や祖父が亡くなったんです。自然と自分の将来についても今まで以上に真剣に考えることも多くなりました。そしてはっきりと「家族のためにも、もっと稼ぎたい」「リーダーやその先のマネージャーを目指したい」と意識したんです。

そのためにまずは人を指導する経験を積みたいと思ったのですが、現場にはなかなか後輩が入りそうにありません。営業の方に相談してみると、勉強会の主催を勧められたんです。思いがけない提案でしたがすぐに「Unityを通じたAR/VR勉強会なら面白いかも!」と思い至りました。仲の良い同期がすでにPython勉強会を主催していたことも背中を押し、さっそくプランを練り始めました。

―会社としてもAR/VR勉強会は初の試みだったとか。

誰かから引き継げる資料や方法はなく、一からの立ち上げは大変でした。独学で使ったテキストやネットを漁って内容を組み立て、周囲に技術的な助言をもらったり、作りかけの資料を見てもらったり。資料といくつかのVR教材を作るのに、週2~3時間を費やし3ヵ月程かかりました。そしていよいよ2019年6月、勉強会をスタートさせました。

 ―開催してみた手応えは?

まずはヘッドセットでVRを体感してもらい、Unityで自由にゲームを作ってみるという初心者向けの勉強会。ゲーム好きのエンジニアが10名ほど集まってくれました。私も含めてみんなでワイワイ交流する形で進めてイメージ通り。初回から好評で嬉しかったですね。

 

 

伝える難しさを痛感。心理学から語学まで、コミュニケーション関連本を読みまくった。

―順調だったんですね。

そう言いたいところですが、実はそうでもありません。回を進めるうちに人に教える難しさが少しずつ分かってきました。少しでも話をはしょったり、ニュアンスで話すと伝わらないんです。後輩とのコミュニケーションは、知識豊富な先輩や同僚と話すようにはいかないんだと初めて感じる驚きでした。

そこで、評判の心理学やコミュニケーションの本、リーダーシップ本を買って片っ端から読み始めました。ただ、そのうちにコロナ禍に突入して、勉強会は休止。再開できたのは1年以上が経った2021年4月、オンライン開催でした。専門の機材に触れなくてもAR/VRの面白さが伝わるようにと苦心して再準備。参加者それぞれの手元にあるPCとスマホを利用しながらの講義形式へと形を変えました。

―講義経験はあったのですか。

いいえ。人前でしゃべること自体今までほとんど経験がありません。緊張でつい早口になったり、逆になかなか言葉が出て来なかったり。参加者には画面越しに首を傾げられ、質問しても口ごもられてますます焦りました。

SUSの勉強会担当の方にも参加してもらって講義方法や内容への助言や各参加者へのフォローもお願いしつつ、私自身は今度は語学関連や相手の話を引き出すコーチングの本にも手を出しました。トータルで20冊以上は読んだと思います。

―それでどんな風に勉強会を変えていったのでしょう。

まずは、できるだけ易しく、正確な言葉で話すよう心掛けました。さらに、しゃべり続けるのではなく参加者にも話を振るようにします。一人ひとりの参加目的や目標なども聞き出して、会話のキャッチボールができるようにしていきました。やがて半年ほどで参加者から自然と質問が出てくるようになり、Unity操作スピードも上がっていきます。みんなの理解度が深まっていくのが分かり、終了後の「面白かった!」の声に手応えを感じました。

 

 

参加者に刺激され、念願のVRエンジニアへ。いよいよリーダーを目指していきたい。

―参加者から刺激を受けることはありましたか?

ありました。普段からUnityや3Dモデリングを学んでいる方も参加していたので、会話から新しい発見があったり、技術を教えてもらったり。「自分はまだまだだ…」と感じる瞬間もたくさんありました。

そのお陰で自己学習にもいっそう力が入り、勉強会を再開した年の年末、そのときの自分の全てをつぎ込んだVRゲーム制作に挑んだんです。それを営業の方にプレゼンすると、「ここまでできるなら!」とトントン拍子にVR連動の音響評価環境開発のプロジェクトへと就業。本格的にVRエンジニアとしてUnityの実力を活かせることになりました。

作成したVRゲーム「Roboot」

―それも広い意味で勉強会の成果ですね!

はい。教えるためにUnityにさらに詳しくなり、自分を奮い立たせる場にもなりました。もちろん、コミュニケーションやリーダーシップ、コーチング力も圧倒的に鍛えられました。念願のVRエンジニアへも歩み出した今、いよいよリーダーそしてマネージャーへと挑戦していきたいです。

―では、中山さんに続く方々へメッセージを!

『勉強会』という名前に堅苦しさを感じるかもしれませんが、普段会えない人との交流の場くらいに考えてみてください。参加すれば確実に世界が広がりますし、取り組み方次第で必ず技術力も上がっていきます。

さらに、技術力だけじゃなく人前でのプレゼンやコミュニケーション力が身に着くのが講師経験です。人に教えて理解してもらうという経験を通じて、リーダーとなるための資質が磨かれていきます。大変なことも多いですが、会社からのサポートもありますし、苦労に見合った以上の成果を手に入れることもできると思います。

(E-30!!!編集部)

 

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