『Step for Leader 勉強会!』Vol.2                                 周囲の知恵と力を借りて勉強会運営を試行錯誤すると、いつしかリーダースキルが身についていた。

株式会社エスユーエス
関西第二ソリューション部 
松本 凌(Matsumoto Ryo)

2017年入社。自動車整備士から、SUSにて機械設計エンジニアへ転身した。まだCADオペレーターを務めていた入社2年目から、機械設計勉強会を主催。知識やスキルの不足を周囲の人の力を借りることで補って試行錯誤しながら勉強会を継続し、2年前から現場リーダーも務めている。

 

 

自ら勉強会のまとめ役として動くと、半年後にはその主催を打診された。

―入社2年目から機械設計の勉強会を主催されているそうですね。

機械設計の初心者~中堅レベルまでのエンジニアの「情報と技術の共有の場」として、それぞれが就業先で学んだことや得意なことをお互いに教え合う勉強会を開催しています。「いろんな知識が学べて面白い」「雰囲気が良くて話しやすい」と言ってもらえていて、勉強会を続けていく励みになっています。

―以前は勉強会に参加される側だったのですよね?

はい。私の前職は車の整備士。ものづくりに興味が湧いて5年前に23歳でSUSに入り、入社時研修で初めて機械設計に触れて「経験が浅い方を指導できるような技術者になりたい」と将来を思い描きます。現場に出る前に少しでも中途入社の遅れを取り戻そうと、すぐに勉強会に参加し始めました。

ところがその勉強会は、私と同じような未経験者が集まってそれぞれに独学に取り組むための場。教えてくれる講師の方がいなかったんです。

―それは期待外れですね。勉強会をやめようとは思いませんでしたか?

少し迷いました。それでも何度か通ううち、「せっかく普段バラバラな仲間が集れる機会だから、もっとうまく活用できないか」という思いが強まります。そこで半年後、勇気を出して自分から勉強会のまとめ役を買って出たんです。

―どんな風に動き始めたのでしょう。

まずは参加者一人ひとりに声をかけて勉強内容を確認すると、みなさん私と同じ材料力学に取り組んでいました。そこで営業の方や就業先の先輩に、お勧めのテキストや効率よく学べる方法を聞いて一緒に勉強し始めました。お互いの進捗状況を確認し合ったり、難しい箇所はみんなで教え合うように働きかけたり。周囲に相談し、知恵を借りながら手探りで勉強会を進めていきました。

そんな2年目、その相談相手だったエンジニアリング課や営業の方々から「講師として本格的に勉強会を主催しないか」と声をかけられたんです。

 

 

資格試験でスキルを高めて講師に挑戦するも、徐々に重荷を感じていく半年間。

―どう思われましたか?

実は、当時の就業先での私の業務はCADオペレーター。機械設計としてはスタートも切っていません。「こんな僕に講師が務まるのか?」と不安でした。

それでも、せっかく私を見込んで声をかけてもらった訳で、CADの勉強を終え、ちょうど機械設計技術者資格を目指して学び始めたところでもありました。なのでこれまで同様、周囲の知恵と力を借りながらなんとかやってみようと腹を括りました。

―自己学習はどのくらいされていたのでしょう。

CADを操れるようになるまでの1年間は、休日の2~3時間程度。資格取得を目標に掲げた2年目からは平日帰宅後に毎日3時間、土日は早起きして朝から昼過ぎまでの4~5時間。機械設計技術者は機械工学専攻4年程度と同等の資格なので、基礎がない私は半年間とにかく時間を使ってみっちりと学びました。

 ―それと並行して勉強会もスタートされたのですか?

資格勉強中はそれまでの進め方を引き継ぐ形で進め、半年後に晴れて試験に合格後、その勉強方法などを資料にまとめて本格的に講義形式の勉強会をスタートさせました。

参加対象は機械設計初心者。ところが実際にやってみると、初心者といっても本当に知識もスキルもない方から四年制大学でしっかり機械工学を学んできた方まで、レベルが本当に様々だったんです。

 ―それは教えるのが難しそうですね。

講義レベルを初心者に合わせれば物足りず、大卒に合わせればついて来られない人がいる。そもそも私自身もまだまだそこまで教えられません。一方で仕事も多忙を極めていて、講師役が重荷になっていくように感じました。

 

 

就業先での学びの共有の場と方針を変え、より充実した勉強会へ。

―それで勉強会の形を変えられたんですね。

理由はそれだけではありません。実は多忙だったのは、勉強会開始と前後して就業先が変わり、機械設計にステップアップしたから。一から図面を引きながら、今まで必死にやってきた自己学習や資格勉強はあくまで土台であり、実務では思ったほど通用しないと思い知りました。現場経験こそスキルアップの近道だと痛感したんです。

そこで営業の方に相談を持ち掛け、私が講義する以上に参加者にとってメリットのある勉強会のあり方を検討します。そして「就業先での学びを共有する場」と方針を変えました。

―どのように進めましたか?

まずは就業先での仕事内容や趣味、休日の過ごし方など参加者が自己紹介する練習から始めてコミュニケーションを深めました。それから各自の業務を深掘りし、機械設計の各領域を知ったり、業務での困りごとや悩みを話し合ったり、業務に直結する勉強法を教え合ったり。私はその場の進行役へとシフトしていきました。

ただ、場を回すというのは意外と難しい。1人でしゃべり続ける人がいる一方で、一言も発言できない人がいたり、世間話に終始しまう日があったり。参加者の期待に応えられず、やはり以前のように講義をして欲しいという声も上がりました。

―それでどうされましたか?

就業先の先輩に勧められた4~5冊のコミュニケーションの本を読み、その手法を実践しました。発言者に適度に質問して話の方向修正をしたり、なかなか話せない人には得意分野の話題を振ってみたり。同時に情報共有の前に時間を設けて私が3D設計について話したり、比較的経験を積んだ参加者に専門分野についてのレクチャーをお願いしたりもしました。

一方で、参加者増にも力を入れます。エンジニアリング課や営業の方と相談し、新人はもちろん、逆に「講師役をお願いしたい」という中堅エンジニアにも声をかけていきました。



 

試行錯誤を重ね育てた勉強会が、リーダー職への道を拓いた。

―手応えは生まれてきましたか?

多くの方が快く参加してくれました。参加者が10名を超えるまで増えていくにしたがい、解析や生産管理などバラエティに富んだ話が聞けるようになり、意見交換も活気づきます。「励みになる」「視野が広がる」そんな感想が出てくるようになり、試行錯誤しながらの1年半で「やって良かった」と思える勉強会に育てられたと感じました。

―ご自身の成長という意味ではいかがですか。

「これは勉強会で聞いた考え方が使えるのでは?」「お客様とのやり取りはこうするとスムーズなはず」そんな学びを実務で活かせています。人前でしゃべることへの苦手意識もなくなり、お客様先との大人数での打ち合わせでも気後れせずに設計の意図を伝えられるようにもなりました。

さらに、勉強会での様子を評価していただき、26歳で思いがけず現場リーダーに昇格しました。徐々に自覚も芽生え、就業先の上司が自らの方針をしっかりと示して部下を引っ張る姿に憧れ、リーダーシップやマネジメントの本も数冊読んでいます。最近は、勉強会でも相手に投げかけるばかりではなく、自分の意志や意見をはっきりと伝えることを意識しています。

―それでは改めて若いエンジニアの方々にメッセージを!

もし勉強会に参加していなかったら、まとめ役を買って出なかったら、就業先の小さな世界しか知らず、ましてや主催することも、現場リーダーになることもありませんでした。今、就業先では新人育成にも力を注いでいて「積極的に面倒を見てくれて助かっている」と評価をいただいていますが、これも勉強会で頑張ってきたからこそだと思っています。自ら動いて本当に良かったですし、全力で取り組めば周囲は必ず助けてくれると実感しています。私自身はこれからさらに力をつけて後輩を教え導けるようなリーダーになりたいですし、それに続く方々が増えてくれるととても嬉しいです!

(E-30!!!編集部)

 

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