今回は、エスユーエスで就業しているエンジニアが、どのようにして現在のキャリアに至ったか、そのチャンスを手に入れるためにどんな努力をしたのかをお伝えする企画になっています。
インタビューを行ったのは、機械学習を用いた顔認証システムの先行開発で活躍している中山さん。どんな行動や努力、仕事姿勢が夢の実現を導いたのかを紹介します。
株式会社エスユーエス
関西第一ソリューション部 エンジニアリング課
中山 克己(Nakayama Katsuki)
多忙な開発現場でプログラマとしてのスキルを磨きながらも、「もっと違う可能性を見つけたい!」と自ら積極的に学び始める。独学していたUnityがきっかけとなり、最先端の運転支援システムに携わるように。現在は、機械学習を用いた顔認証システムの先行開発現場で、自由度高く活躍している。
自動車製品開発の短期プロジェクトで、できることを着実に増やした
―現在はどんなお仕事をされていますか?
昨年2月から最先端自動車に搭載される運転支援システムの中でも、主に機械学習の画像認識技術を使った顔認証の先行開発を行っています。運転者の本人確認に始まり、顔の向きや表情、まばたきの回数などから運転中の状況読み取り、安全な走行サポートして交通事故を未然に防ぎます。まだ世の中で実現していないことを追求しているため、エンジニアが思いついたことを自由に試せる環境があって、細かな制約がないのも先行開発の楽しさです。
―中山さんは新卒入社すぐから自動車製品の開発に携わっていらっしゃるんですよね?
はい。担当営業の方が、専門学校で学んでいたC++を活かせる開発現場を提案してくれ、入社から現在まで同じ大手エレクトロニクス企業で、数ヵ月~年単位のさまざまなプロジェクトに携わってきました。1つ目のプロジェクトは、Linux用車載カーナビシステム開発。就業すぐに、仕様書を見てコードを書き始めました。プロジェクト終了までの4ヵ月で少しずつ携わる範囲を広げ、システム開発の全体の流れを理解。自ら手掛けた製品が世に出る喜びも感じられました。
―次もカーナビ開発のプロジェクトですね!
OSはWindowsに変わりましたが、前のプロジェクトでの経験がそのまま活きる現場でした。ここでは、一緒に働くエスユーエスの先輩方にアドバイスをもらいながら、業務効率化を図りました。就業当初は四苦八苦していたバグの検証も、1年が経つ頃には瞬時に発見できるまでになり、着実に力がついていると感じられました。その後も、身につけたスキルや経験を横展開できる車載アプリ開発、業務用WEBアプリ開発と、さまざまな短期プロジェクトに携わっていきました。
―順調ですね~。
そうですね。ただ、仕事ができるようになればなるほど目の前に業務が積まれ、残業も多くなっていきました。「状況を変えなければ…」と思い、担当営業の方に状況を相談すると同時に、自分でもちゃんとアクションを起こす必要があると考え始めました。
スキルアップして状況を変えようと学び始めたUnityで、最先端プロジェクトにジョイン
―たとえば、会社を辞めるという選択肢はなかったのでしょうか。
それはありませんでした。エンジニアを目指していくつかの会社の説明会に参加した中で、明確に「技術」と「人」を育てるというコンセプトを掲げていたエスユーエスを自ら選んで入りました。さまざまなプロジェクトを通じて力がついている実感はありましたし、会社も研修や勉強会など学ぶ機会もたくさん提供してくれています。AIなどの最先端分野のエンジニアを目指して学んでいたり、活躍して表彰を受けている同期もいて、負けていられませんしね。なので私としては、「会社を辞めるのではなく、スキルアップして今とは違う可能性を見つける行動をしよう」と決めたのです。
―実際には、どう動き始めたのでしょうか?
一つは、月1回の社内勉強会に積極的に参加するようにしました。自分の知らない技術や情報にアンテナを張って講師の先輩にどんどん質問したり、参加メンバーに積極的に話しかけたり…。あまり重視していなかった自宅学習用の課題にも、土日でしっかり取り組みました。さらに、子どもの頃からずっと好きだったものの、専門学校で学びながらも挫折してしまったゲーム開発に再び挑戦することにしました。VRヘッドセットとハイスペックなPCを30万円ほどで購入し、ゲームエンジンUnityを独学で学び始めました。
―積極的に学び始めてから状況は変わりましたか?
勉強会メンバーと仕事や技術の話をしたり、将来のビジョンを語り合うことでコミュニケーションに自信がつき、実務の現場でも仕事のやり方についてしっかりと主張し、周囲と調整できるようになりました。「中山さんは技術もあるし、コミュニケーションもできる」と評価いただくと、相変わらずの激務でも、ある程度の裁量を持ち、忙しさをコントロールしながら進めることができるようになっていきました。さらに、学んでいたUnityをきっかけに、いきなり先端開発への道が開けたんです。
―どういうことですか?
本当にたまたまなのですが、プロジェクトを移る際に先方担当者が私の業務経歴書の「Unity」の記載に目を留め、「別の新規プロジェクトでUnityを使うかもしれないのだけど、やってみる?」と言ってくださったのです。それが、顔認証と連動した音声認識車載システム開発でした。結局Unityは使用せずC++とC#での開発となりましたが、「Unityが使えるなら3DやC#周りのことはわかるだろう」と判断されたのだと思います。学び始めてから1年も経たない2018年の夏のことでした。
Unity勉強会・AR/VR勉強会を次々に立ち上げ、後輩指導にも挑戦
―入社2年半が経った頃ですね。どう思われましたか?
「Unityやっててよかった!」の一言に尽きます(笑)。これまでの車載システムの経験を活かせ、しかも、これまでにない先行開発に携われるということで、かなり嬉しかったです。この音声認識システム開発のプロジェクトが終わると、次は自動車メーカーで発売予定の車に搭載される顔認証システムの量産開発に従事しました。この2018年から一気に仕事の内容が最先端領域へとシフトしていくことになりました。
―その頃から、社内勉強会の講師としても活躍されているんですよね?
実は、この年は父や祖父が亡くなるなど人生の転機になるような大きな出来事が重なり、将来のことを真剣に考えるようになった時期でもあるんです。「長男として家族を支えたい」「もっと稼げるようになりたい」「ゆくゆくはリーダーとしてメンバーを引っ張りたい」……そんな想いが高まって担当営業の方に相談したときに、「手当も付くし、Unity勉強会の講師をやってみたらどう?」と勧められたのです。
―すぐにやってみようと思われたのですか?
同期がすでにPythonのAI勉強会の講師をしていたこともあり、「やってみたい」と思いました。そこから数ヵ月、どんな形で開催できるか、どんな内容を教えられるかを考えながら、週に2~3時間程度を使ってプランを練りました。教材用にVRゲームもいくつか作りましたね。その後、社内の研修担当の方に勉強会の詳細とともに「講師をやりたい」と意志を伝えて了承いただき、さらに内容を詰めて2019年5月にAR/VR勉強会を立ち上げました。
―勉強会を開催してみてかがでしたか?
VRヘッドセットを持ち込んでバーチャル世界を体験してもらい、実際に手を動かして自由にゲームを作ってみるという初心者向けの勉強会を開催したのですが、当時UnityやVRの社内勉強会は他になかったこともあり、ゲーム好きのエンジニアが集まってくれました。コロナ禍になるまでに3回程開催し、多くの参加者から「面白かった」と言ってもらえて手応えを感じました。初めて新卒を含めた後輩を指導するという経験をして、先輩や同僚とのコミュニケーションとは全然違う難しさがあると気づけたことも大きな収穫です。
自由な先行開発に手応えを感じ、この分野の上流を目指したい
―そしていよいよ2020年に、現在の顔認証システムの先行開発に就かれるわけですね。
はい。すでに製品化されている顔認証のさらに先を行くシステムをつくるための研究開発をする段階です。機械学習のアルゴリズムなど学ばなければならないことが山ほどあり、高等数学などの専門知識が必須でした。最初は指示についていくだけでも精一杯で、コードを書くため数式とにらめっこしながら、ああでもない、こうでもないと試行錯誤しているうちに一日が終わるという状況でした。それでも手元の資料や専門書、ネットでひたすら調べて正解を導き出しながら食らいつき、1年半が経った今は自由な開発の手応えを得られるようになってきました。
―この先はどのような将来を描いていらっしゃいますか。
私はひとりであれこれ考えてしまうタイプです。つい最近も、「この先、後輩を引っ張っていくリーダーになるためには、こんな力も足りないし、あんなことも身につけないと……」と思い悩んでいました。でも担当営業の方に、「中山さんには、画像認識やVRという強みがあるんだから、そこを突き詰めていけば大丈夫なのではないですか」とはっきり言ってもらって心が決まりました。高等数学ももっと追求していきたいですし、機械学習の延長線上にあり、AI開発に使用するPythonも本格的に学び始めようと思っています。そしてまずは、現在携わっている分野で、上流工程のエンジニアを目指したいと思っています!
―それでは最後に、エンジニアを目指す方へメッセージをお願いします!
自ら一歩踏み出して学び始めることが、将来を開くきっかけになると私自身が身を持って感じています。エスユーエスは、エンジニアの努力にしっかりと応えてくれ、さまざまなサポートをしてくれる会社です。これからやりたいことを見つけたい方も、すでにやりたいことがある方も、ぜひ来てみてください!
多忙な現場で着実にプログラマとしての力を磨きながらも、「自分の力で状況を変えよう」と自己学習に力を入れ始めた中山さん。その努力が先進的な画像認識システムの先行開発へとつながりました。将来ビジョンも定まった今、最先端の現場でのますますの活躍を期待しています!ありがとうございました。
(E-30!!!編集部)