目標は「近所のにいちゃん」です。理想のリーダー像ってなんだろう? 30代のエンジニアが導き出した答えとは

 

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「自ら模範を示す」はもう古い?

リーダーとして活躍する中で、メンバーの育成や組織として成果を上げるための取り組みは必要不可欠です。そのためには、リーダーだけでなくメンバーそれぞれがリーダーシップを発揮し、能動的に取り組んでいく必要があります。

 

しかし、「部下のリーダーシップについて満⾜しているか」といったアンケート(出典:「部下のリーダーシップと⾃⾝のマネジメントスキル」に関するアンケート調査結果報告/フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社)によると、「かなり満足している」「満足している」といった回答は全体の40%にとどまったという結果が出ています。

 

同調査では続いて「部下にリーダーシップを発揮させるために行っている取り組み」と「最も効果があった取り組み」を質問したところ、「部下とのコミュニケーションを増やす」が取り組み率、効果ともに最も高い結果となりました。一方で、双方の結果に一番差が開いたのは「自ら模範を示す」という取り組みです。

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出典:「部下のリーダーシップと⾃⾝のマネジメントスキル」に関するアンケート調査結果報告(フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社)より作成

トップ2つの取り組みは、実施している方の約半数が効果を実感しています。しかし、「自ら模範を示す」では3割弱にとどまり、ほとんど効果がないというのです。かつての教育方針として「背中を見て学べ!」といったスタイルが当たり前とされてきましたが、今やその考えは通用せず、コミュニケーションがいかに重要かを物語っています。

 

しかし、メンバーの性格は十人十色。どのようにすればメンバーが成長するのか、試行錯誤しているリーダーも多いかと思います。そこで、今回はエンジニア歴12年で、これまで数々のチームを率いてきたご経験のある東條さんに、これまでのリーダーとしての失敗経験や、そこから得たご自身の目指すリーダー像の変化についてお聞きしました。

 

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 身長は180cmを越え、社内でもひときわ大きな存在感を放つ東條さん

 

株式会社エスユーエス エンジニアリング部

東條 良彦(Tojo Yoshihiko)

全く未経験からIT業界に入り、入社1年半でサブリーダーに抜擢。2017年4月にエスユーエスへ入社し、現在は大手電気機器メーカーグループ会社の受託プロジェクトのリーダーや技術営業を担当し、マルチな活躍を行う。

 

全く無縁な世界から飛び込んだIT業界で、早期リーダーに抜擢

──まず、東條さんはなぜエンジニアを目指そうと思ったのですか?

 

実は、全く目指そうと思って目指したわけじゃないんですよ(笑)。僕は高校卒業後、髪色や服装が自由な職業で、かつ電車通勤が嫌だという理由で、配管工事などを行う仕事に就いていました。全くPCが得意ではなくて、タイピングも人差し指でポチポチ…といった具合。その当時は、番頭を目指していたのですが、仕事で腰を悪くしてしまったんです。そこで転職を考えた時に、“きれいなオフィスで働ける!”ということに惹かれて、ITベンチャー企業に転職したのがきっかけです。

 

──すごいめぐり合わせですね(笑)。

 

そうですね。ずっと外で働いていたので、オフィスでIDカードをピッとかざすだけでも嬉しい時期がありました(笑)。ただ、やはり入社してからは大変でした。入社1ヶ月後にJavaの資格を取るなど、かなり勉強しましたね。またベンチャーならではの抜擢文化があったので、1年半後にはプロジェクトのサブリーダーを任せていただけるなど経験を積ませてもらいました。

 

──では、エンジニアとしての面白さはどういったところに感じていたのですか?

 

実は、自分がエンジニアに向いていると思ったことは一度もありません。一方で、昔から人と話すことが好きなので、プロジェクトごとにチームが変わり、いろんな人と出会えるのがとても楽しかったですね。そういう意味では、こうした職場環境が自分には合っているのかもしれません。

 

──その後、どのような経緯でエスユーエスに?

 

その後は再度転職し、2社目の企業で勤めていました。その時の同僚がエスユーエスへ転職していて、誘ってもらったことがきっかけですね。エンジニアの方なら共感してくださる方も多いと思うのですが、「今よりもさらに良い環境があれば転職をしたい」とずっと考えていて、ぜひ来てほしいと声をかけていただいたこともあり、転職に至りました。

 

リーダーって、むずかしい

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とても人懐っこく明るい性格で、みんなから慕われています

──先程「抜擢文化があった」とお話いただいたように、東條さんはエスユーエスに入社する前からリーダー経験が豊富ですよね。リーダーとして働くやりがいや面白さはどのように感じていますか?

 

僕自身が手を動かすのではなく、後輩に「こうしたらえんやで」と指導している時に、「その方法でできるのか!」と、ハッと気づいて喜んでいる姿を見るのが一番の面白さですね。新しいことができるようになったり、それが給料やポストに反映されたり、日々の進歩がないと仕事って楽しくないと思うんです。だからこそリーダーとして、僕が後輩の成長のきっかけなれればいいなと思いながら日々接しています。

 

──リーダーとしてご活躍する中で、苦労したことはありますか?

 

当たり前のことかもしれませんが、やはり「伝え方の難しさ」でしょうか。一概にエンジニアといってもたくさんの人がいます。スキルがまだ浅い人、一人で黙々と作業するのが好きな人…他にも、自分より年上の人がチームに入ることもありました。そのようなさまざまな人と関わるので、やはり伝え方も工夫しないといけないんですが、僕が指示を伝えた時に「はい!わかりました!」と返事をしてくれても、全く意図が伝わっていなかったり…。相手の目線に立って、1から10まで伝えるのか、1から5まででも問題ないのか、いつも試行錯誤です。

 

──具体的にはどのように指導されているんですか?

 

実は、昔と今では指導のスタイルを変えているんですよ。昔はいわゆる「俺についてこい!」という、みんなを率いるような…いわゆる体育会系ですね(笑)。でも、現在はチームをバックアップしてメンバーのサポートをするスタイルに変わってきています。

 

──指導スタイルをご変更された理由やきっかけは何かあったのでしょうか?

 

きっかけ…というか、今でも記憶に残っている出来事はありますね。

 

──具体的には?

 

エスユーエスに入社する以前の会社で、当時僕はメンバーやプロジェクトの管理も並行しながら自分もプレイヤーとして業務に取り組んでいました。日中は自分のプログラミング作業を、夜は管理系業務を、というようなルーティンですね。

 

──かなりハードな環境だったんですね。

 

自分はそれが当たり前というか、自分の仕事なんだからやるのが当たり前だろうと思っていて、苦痛には感じていなかったんです。でもメンバーにはそう映ってなかったみたいで。その時のメンバーに、「東條さんにはなれません」「しんどくないんですか?」と言われ、退職の申し出がありました。

 

──それを言われた時、どのように感じたのですか?

 

「そういう考えがあるんや」って、正直驚きましたね。僕と同じ働き方をメンバーに押し付けるつもりはなかったですし、リーダーの在り方って正解はひとつじゃないと思っています。でも当時は「俺についてこいスタイル」だったこともあってか、メンバーにとっては「リーダーとして活躍するには、作業を人一倍こなして、深夜まで管理業務をするような働き方をしないといけない」と思われてしまったのかもしれません。

 

──その後、どうされたのですか。

 

そのメンバーの相談にたくさん乗って、不安に感じていることを聞いたり、リーダーになったときの仕事内容を説明したりしました。今の僕が担当している業務がリーダーの当たり前ではなく、管理業務に集中することもできると、僕なりに一生懸命伝えました。ですが、結局彼は退職してしまったんです。そこから、自分のリーダーとしてのスタイルを「このままでいいのか?」と疑問に感じるようになりました。今までは、「自分の仕事の範囲をきちんとやっていれば大丈夫」という責任感で仕事をしていたのですが、それだけでは足りないんじゃないか、とか、メンバーも一人ひとり考え方や価値観が違うので、もっと寄り添っておくべきだったんじゃないか、とか。

 

僕が目指すのは、“近所のにいちゃん”です

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「その退職したメンバーは、今は全く別の業界で活躍しているそうです」とお話してくれました


──その後は、どのように変化していったのですか?

 

そこで、「相手の目線に立つことの大切さ」を学んだきっかけが、一般の方向けにHTMLやCSSの講座を開催していた時の講師を担当していた時です。受講者の方は、主婦や学生などこれまで全くプログラミングをやったことがない方たちだったので、メンバーに指導するのとはわけが違いました。

 

──その時、どんなことに気をつけていたのですか?

 

伝え方やコミュニケーションの取り方を工夫するようになりました。ひとつ解説するにしても、順序を踏んで細かく丁寧に伝えたり、こちらから積極的に「順調に進んでますか?」「わからないところはありますか?」と話しかけ、受講者が質問をしやすい雰囲気づくりを意識していましたね。その時学んだ工夫を、今はメンバーに対しても行うようになりました。

 

──なるほど、そこからスタイルを変えていったのですね。先程、「現在はメンバーのサポートをするスタイル」とおっしゃっていましたが、例えばどのようなことを行っているのですか?

 

僕が目指しているイメージは、「近所のにいちゃん」です(笑)。みんなが気を張らないよう極力フランクに、なんでも相談し合える雰囲気づくりを心がけています。メンバー個人の目標を決めるときも、僕が道を示してあげるのではなくて、まずはメンバー自身がどうなりたいかを聞きますね。それに対して「それはこういうことだよね?」と補足して、メンバーの目指す道を、より明瞭なものにしてあげるのが僕の役割だと思っています。会議をしていても、「僕はAだと思うけどみんなは?」と投げかけて、例えば「Bだと思います」などの全く違う意見が出てきたら、話し合ったうえでBに決定することも多くあります。上司と部下という意識ではなく、メンバーとは対等であると思っています。

 

──伝え方やスタイルを変えたことで、メンバーの変化はありましたか?

 

相談件数がめちゃくちゃ増えましたね!例えば、「これで合ってますか?」とか、本当に小さなことでもみんなが積極的に話しかけてくれるようになりました。あとは、雑談もたくさんするようになりましたね。メンバーが朝出社してきてすぐに、「今日寝坊したんですよ!」って言ってきたりとか(笑)。そんな何気ないやり取りが増えたことを考えると、メンバーも楽しく働いてくれているのかな、と思います。

 

 

いざ、次のステージへ

 

──東條さんのこれからのビジョンについて教えてください。

 

エスユーエスに入社してからしばらくの間、大手電気機器メーカーのグループ会社のプロジェクトに技術者派遣として参加していたんですが、より責任の大きな仕事をしたいという目標がありました。そこで、クライアントと相談して2019年12月に受託案件としてプロジェクトを受注したんです。現在進行しているのは、酒造メーカー系のECサイト開発であったり、公共の求人システムなどC#、PHPを使用するプロジェクトが多いですね。ですので、今は受託チームでしっかり結果を出すこと、さらにメンバーを増やしてより大きなプロジェクトにすることを目指しています。今は僕を含め5人のメンバーですが、数年後には10~15人くらいに増やし、基本的には言語関係なく幅広いプロジェクトに対応できる大きなチームにしていくのが目標ですね。その他にも、現在は技術営業にも取り組んでいるので、受託案件がもっと増えるよう頑張りたいと思います。

 

──どのようなチームにしていきたいと考えていますか?

 

ファミリーのようなチームを目指したいです。悩み事も、嬉しかったことも、ショックだったことも、どんな小さなことでもいいので何でも言い合えるようなチームになりたいですね。どうしても、悪いことや言いづらいことって報告を躊躇してしまうものですが、悪い情報こそ早く知って、打ち手を考えないといけないですよね。そこで、上司に「報告」ではなく、みんなに「共有」というイメージで、発信がしやすくなるような関係性が良いと考えています。

 

──上司、部下という関係性にとらわれない、素敵な方針ですね。さいごに、現在リーダーとして活躍している方に向けて、メッセージをお願いします。

 

例えば「メンバーと上手くいかない」などで悩んでいる人は、なぜそう思ったのか、どのような出来事があってそう感じたのかを振り返ってみてほしいです。その出来事が原因であり本質だと思うので、それを解決するためにメンバーとディスカッションを重ねていく必要があるのではないかと思います。現に僕も、メンバーとの意見交換はとても重要視しています。

 

あとは、リーダーとしてスキル面でメンバーをサポートしていくのはもちろん大事なのですが、仕事に取り組む姿勢として、「しんどい」「疲れた」などのネガティブな言葉を言わずに、まずは自分自身が仕事を楽しむことが大事だと考えています。例えば僕が「しんどい」と思っても、実作業を僕よりも多く担当してくれているメンバーの方がしんどいはずなんですよ。だからこそ、自分自身が楽しく仕事に取り組むことで、メンバーも前向きに取り組めるようないい影響を与えられると思っています。

 

──そのスタンスを、一言で表すと「近所のにいちゃん」なんですね。リーダーの観点として、とても貴重なお話をお聞かせくださり、ありがとうございました!

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チームメンバーや営業など、部署の垣根を超えてよく飲み会を開催されているそうです


 今回のインタビューは、東條さんの朗らかな人柄がとてもよく分かる取材となりました。現在、東條さんがリーダーを担当しているプロジェクトチームのフロアへ伺いましたが、和気あいあいと会話や冗談が飛び交い、みなさんとても楽しそうな印象を受けました。

 

メンバーの多様な価値観を受け止め、より良いチームを目指していく東條さん。今後のさらなるご活躍を楽しみにしています。

 

(E-30!!!編集部 安達)

 

 

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