コロナ禍のプロジェクト終了で、モチベーションが低下。その状況を乗り越え、再びAIプロジェクトに参画するまで

今回は、エスユーエスで就業しているエンジニアが、どのようにして現在のキャリアに至ったか、そのチャンスを手に入れるためにどんな努力をしたのかをお伝えする企画になっています。

インタビューを行ったのは、画像処理と機械学習が専門分野のAIエンジニア野澤さん。どんな行動や努力、仕事姿勢が夢の実現を導いたのかを紹介します。

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株式会社エスユーエス
関東第二ソリューション部 エンジニアリング課 
野澤 直(Nozawa Sunao)

「カメラ以外に興味を持てる分野を見つけたい」とエスユーエスを選んだ。自動運転のAI画像処理という理想の仕事に巡り合い、ひたむきな自宅学習でスキルを高め続けた。コロナ禍の影響で一時的にAIからかけ離れた現場に移るも、その経験すら糧とし、2021年9月から再びAIプロジェクトへの参画が決まっている。

 
 
 

入社1年目で、喜びと不安のAIプロジェクトへ

大学院ではAIによる画像処理と機械学習について研究されていたと伺いました。なぜ派遣という働き方をしようと思われたのですか?

もともとはカメラ業界に進むつもりで画像処理を学んでいました。ところが、在学中に高画質なカメラ機能を備えたスマホが普及し始めて業界は衰退の一途。就活に臨んでも、募集は1社につき数名程度しかありませんでした。真剣に将来を考え直す必要に迫られ、「派遣という働き方なら、学んできた技術を活かせるし、さまざまな業務に取り組むことで、カメラ以外に興味を持てる分野を見つけられるのではないか」と思い至ったのです。

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―数ある技術派遣の中で、エスユーエスを選んだ決め手は何でしょう。

「社会人学校」というコンセプトに惹かれたからです。ずっとエンジニアとして活躍し続けるために、学びの場を積極的に提供してくれる会社であることが決め手になりました。

実際に、入社後まず取り組んだのは“キャリアパスの設定”。3年後の将来を見据え、今自分にどんな技術があり、何を学ぶべきかをキャリアシートに書き出し、上司と面談しました。その際に、上司から「野澤さんが大学院で使ってきた言語はどちらかというと研究向けなので、実装向けの言語を学びましょう」とアドバイスいただき、汎用性の高い人気言語C++とPythonを学び始めました。

―ちなみに…どんなキャリアパスを描かれていたのですか?

そもそも、学んできたAI画像処理はまだ研究段階の分野です。「実務未経験者がいきなり就業するのは難しいだろう」と考え、まずは一般的なIT系企業でプログラミングスキルを磨くことを想定。3年後くらいを目処に、AI分野へとシフトしていこうと描いていました。

ところが、入社から4ヵ月後に担当営業から提案されたのは、誰もが知る超大手テクノロジー企業のAIプロジェクトでした。自動運転の実現に向け、自動車の目ともいえるカメラの画像処理・機械学習に関する研究開発で、クライアントである研究所の依頼に応え、新たに社会に出た論文やその技術の実証検証を行うというハイレベルな業務だったんです。

画像処理と機械学習といえば、まさに野澤さんが学んできた分野じゃないですか?

はい!「4ヵ月かけて私の力が活かせそうな職場を見つけてくれた!」とうれしかったです。ただ同時に、「いきなりこんなレベルの高い実務に対応できるのだろうか…」という不安も押し寄せてきました。

 

 

自宅のパソコンに職場と同じ環境を再現し、経験不足をカバー

―実際に就業してみていかがでしたか?

最初に担当したのは、Linux環境の中で機械学習ライブラリの移行を行い、プログラムを最適化していくプロジェクトでした。しかしLinux環境も初めてなら、ライブラリもツールも使ったことがないものばかり。操作に必要なコマンドは全く知らず、入社から4ヵ月で学んだC++も使いこなせるレベルではありません。巨大なプログラムは複雑なネットワークになっていて、ひとつのファイルの繋がりを探し出すのに数時間かかることもあり、「圧倒的に経験不足だ…」と打ちのめされました。

―それは大変ですね。どうされたのでしょうか。

まずは、過去に別プロジェクトで使用されたファイルを探してコードを読み漁り、理解を深めていきました。実際に担当プロジェクトを進めるときは、とにかく周りの方に頼りまくりました。特に、同時期にプロジェクトに参画したエスユーエスの先輩には、何度も(笑)。それでもやはり周囲と同じように業務を進めるのは難しくて、「何とかしないと…」と始めたのが、自宅のパソコンに職場と同じ環境を構築しての検証作業でした。

 ―もう少し詳しく教えてください!

もともとゲームが好きで、画像処理に必要なGPUを積んだパソコンが自宅にあったので、平日帰宅後に毎日2時間、3日~4日程度かけ、職場の作業環境を再現しました。実際のプロジェクトで「関数処理がうまくいかない理由は?」「どうすれば正しい答えが返ってくる?」を、さまざまなデータを入力して試していきました。その後も、新プロジェクトが立ち上がるたび自宅に職場と同じ環境を整え、帰宅後や休日など毎週3~4時間程度を勉強に充てました。

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 ―それは力が付きそうですね。

検証作業以上に、毎回違う環境構築をすること自体が経験値を上げてくれたように感じます。インストール段階で頻出するエラーに対応していくと、そのライブラリや言語の特性、扱い方がわかってくるんです。最初はトータルで7時間近くかかった環境構築も、30分でできるようになりました。職場の方々にも最適な仮想環境ツールなどを教えてもらい、1年間で4プロジェクトに合わせた4つの環境を構築しました。知識や技術が身に付くにつれ、プロジェクトメンバーからも頼られることが増えていった2年目、エスユーエスから新メンバーも加わることになったんです。

 

 

上流工程業務やチームリードに手応えを感じ始めた矢先のプロジェクト終了

―メンバーが増えたことで、野澤さんの役割に変化はありましたか?

5名のうち2名が未経験の若いエンジニアで、私が指導役となりました。一方で、XAI(説明可能AI)の実証性検証から業務もレベルアップ。初めて上流の要件定義から携わらせていただくことになりました。上司とともにクライアントとなる研究所へ出向き、どんな技術をどのように検証するかという点から検討。AIエンジニアとして意見を求められ、自ら検証に適した環境や言語を考えて提案する責任に身が引き締まりました。

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上流工程から携わるプロジェクトは、やはり今までとは違いますか?

自分が良いと思うものを選び、周りと相談しながら進めていける自由度の高さ、実装にも試行錯誤の面白さがありました。さらにその後のプロジェクトでは、上司の指示のもと、チームメンバーのまとめ役も担います。プロジェクトをリードする手応えも、ほんの少し感じ始めていました。

ところが、ちょうどこの頃からコロナ禍の影響が出始めて事業規模が縮小されていき、就業から約2年、とうとうプロジェクトが終了してしまったんです。

―せっかく新たな手応えを感じてきたところなのに、とても残念ですね。

このような状況下でも担当営業の方が奔走してくれて、翌月には大手ソフト開発会社で同じく自動運転分野のAIプロジェクトへの就業できることになり、すごくホッとしました(笑)。ところが、当初予定していたプロジェクトが保留になり、思いがけずAIとはかけ離れた自動運転車載カメラのテスト効率化に携わることになってしまったんです。必死に専門用語や技術を覚えながら取り組みましたが、ひたすらExcelをいじる日々に先が見えず、半年もすると業務にマンネリを感じてしまい、徐々にモチベーションが保てなくなっていきました。

 

 

社内研修でのアドバイスを試したら、現状も前向きに捉えられた

―なかなかつらい状況ですね。どうされたのでしょうか。

たまたま、エスユーエスで毎年実施されている「ヒューマンスキル研修」に参加したとき、自身の技術課題とコミュニケーション課題をエンジニア同士で話し合うというプログラムがありました。そこで自分の現状や悩みを相談したところ、「前の職場のメンバーに連絡を取ってみたら?」と多くのエンジニアが経験を交えてアドバイスしてくれたんです。

―実際にやってみられたんですか?

はい。近況を報告し合ったり、頑張っていること、経験が役に立っていることなど、色んな話を聞くうちに、本当に元気が出てきました(笑)。AI業界で流行っている最新の画像生成技術なども教えてもらい、自宅パソコンに再び環境を構築して試してみたりするうちに、ワクワクする気持ちも戻ってきました。今携わっているテスト効率化業務も、「将来もし自動運転全体のプログラムに臨むことになれば、知識として必ず役に立つ!」と前向きに捉えられるようになり、AI関連資格の勉強にも改めて力を入れ始めました。さらに、担当営業の方に勧められた「AI勉強会」にも参加するようになりました。

すでにAIには詳しいと思うのですが、新たに得るものはありましたか?

すごくありました(笑)!私は今までどちらかというと実装をメインに携わってきていたのですが、勉強会講師の方は上流から下流までプロジェクト全体のマネジメントを担っている方。プロジェクトの進め方、そもそもその案件にAIが適しているかどうかの判断基準など、AIエンジニアとしてさらに上を目指すための知見が得られて意欲も高まりました。

―やはりAIエンジニアとして上を目指していこうと考えていらっしゃるんですね!

もちろんです!実は、就業先の担当者の方には今の仕事への取り組み姿勢や成果も評価していただいていて、ことあるごとに「せっかくAIのスキルがあるのに、活かせないのはもったいない」とも言ってもらってたんです。その後押しもあり、ついにこの9月から就業先企業はそのまま、再び自動運転のAI関連プロジェクトに移ることが決まったんです!

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おお(笑)おめでとうございます!入社時のキャリアパスをずいぶん前倒しされていますね。今、改めて描く将来を教えていただけますか。

学生時代はカメラしか見えていませんでしたが、せっかくエスユーエスが自動運転という新しい分野に出合わせてくれたので、もう少しこの道を追求して行きたいと思っています。そしてその先は「AI×○○」で、新しいことに挑戦できたらと考えています。たとえば「AI×化学」。この先主流になる電気自動車のバッテリー燃料に最適な成分組成の発見にAIを使おうという動きがあり、面白いなと感じています。目まぐるしく変化し、次々に新技術の出てくる業界ですが、エスユーエスは、その情報をしっかりとキャッチし、学ぶ環境をしっかり整えてくれる会社です。その支えに感謝しながら、将来の挑戦のためにも、日々しっかり学び、ますます力を高めていきたいです。

 

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理想の現場に入れたことで満足せず、自宅パソコンに環境を構築してまで学び続けた野澤さん。きっとこの先も努力し続け、夢中になれる「AI×○○」を見つけられるのではないでしょうか。最先端の現場でのますますの活躍を期待しています!ありがとうございました。

 

(E-30!!!編集部)

 

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