元・病院事務職員の「データサイエンティスト」になるチャンスを手にする方法

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 アメリカにおけるすべての職業で、年収の中央値と満足度と求人数を総合的に見たとき、最高の職業は「データサイエンティスト」であると、国内の求人情報サイトGlassdoorが「The Best Jobs in America2019」を発表しました。年収の中央値は日本円で1188万円、満足度は4.3/5点、6510件の求人数となっており、ランキング1位となりました。

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出典:全米最高の職業は「データサイエンティスト」で年収1200万円 IT系は恵まれている?|ビジネス+IT

 データサイエンティストとは、インターネットの普及やIT・科学技術・AIの発展により蓄積されたビッグデータと呼ばれる膨大なデータを、効率よく分析して革新的なアイデアを生み出す職業のことを指しています。

近年インターネットを活用した多くのビジネスが登場してきたということもあり、企業は他社との競争に勝つためにサービスや業務の改善を常に行っていく必要に迫られています。そうした場合、データサイエンティストの分析結果をもとに事業を検証することが多いため、これからの時代にはとても重要ということで注目を集めているのです。

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出典:データサイエンス | データサイエンティスト|Data Artist

 とは言うものの、数学や統計学、データ分析の知識は勿論のこと、近年ではAIによるビッグデータ分析が盛んに行われていることもあり、機械学習やディープラーニングなどのAIに関するスキルも必要不可欠な難しい職業でもあります。

今回のインタビューでは、IT未経験で『病院の事務職員』だった長田さんが、なぜ、そんなにも知識の求められる『データサイエンティスト』になるチャンスを掴めるまでになったのか。その理由を明らかにしていきたいと思います。

 

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株式会社エスユーエス
関東第二ソリューション課
長田 浩樹(Nagata Hiroki)

2018年入社。大学卒業後、病院に事務職員として就職。その後、技術系アウトソーシング企業でエンジニアとしての道をスタートさせる。データサイエンティストを目指し、エスユーエスに転職。現在はメーカー系企業にて、AIの仕事に携わっている。

ITなんて、全く縁のない生活でした。

―大学時代は何を専攻していたんですか?

実は私、大学を一度辞めてるんです。初めは関西の大学で物質工学を学んでたんですが、授業で数学を学んでいるうちに、もっとこの分野について学びたいと思うようになって…。当時その大学に数学科がなかったので、違う大学を受験し、入学し直したんです。

―卒業後はどのようなお仕事をされてたんですか?

初めは大学院に行きたいと考えていましたが、結局就職の道を選びました。ただ、特になりたいものもなかったので、あまり活動もせず卒業しました。今思えば甘えてたなと思います…。しばらく経って、とにかく仕事しようと思い、公務員試験を受けたんですけど、やっぱり狭き門で…。興味があるわけでもない病院の事務職員の仕事を見つけて、受付や薬品の発注、Excelで在庫管理や収益のデータ管理を4年程やってました。

―またなぜエンジニアになろうと?

病院で働いていた頃、ちょうどスマホが普及し始めて「こんなに便利なものが出てきたんや」と、良い意味でショックを受けたんです。これからはこういうアプリを作ったりするプログラミングが時代の潮流かなと思ったのが、エンジニアを意識し始めた理由です。

―そこからすぐにエンジニアに?

プログラミングなんてやったこともないので、すぐにはなれないだろうと、まず未経験でJavaを学べるスクールに通うことにしたんです。週5日、朝から晩までがっつり勉強してました。

ある日、そこで一緒に学んでいた人と転職博というイベントに参加したんです。そこで偶然、前職の技術系アウトソーシング会社の方から「数学の知識も活かせますよ」と話を聞き、「大学で学んだことを活かせて、プログラミングもできるなら」と入社を決めました。

―朝から晩までの勉強と運命的な出会いで、エンジニア人生がスタートしたというわけですね

入社後、地方都市で2年程、工場の製造データから不良発生要因を特定する業務や他部署へのデータ分析ツールの普及活動、オペレーショントレーニングなどをしてました。でもそこで使用していたツールは、グラフィックユーザーインターフェースというマウスとかでポチポチっと操作するもので、プログラミングを使うものではなかったんです。

エンジニア人生スタート直後に、壁にぶつかりました。

―プログラミングしたかったんですもんね…どうされたんですか?

あるとき上司が「早期に対策すべき優先度の高い不良パターンを抽出するアルゴリズムはないか」と言ってたのを聞いたんです。「じゃあそれを解決するアルゴリズムを自分が考えて作ればいいのでは!」と、当時読んでいた機械学習の入門書を参考にしながらアイデアを提案してみたら、内容が面白かったのか、異常検知システムの開発を任されることになりました。

与えられた仕事をするのも大事だけど、得意な能力を活かして課題を解決するよう、自ら働きかけることで、道も広がっていくんだなと感じたできごとでしたね。

―まさに「働きかけ力」が身を結んだ瞬間ですね

はい(笑)。でも実際に作り始めると、私がアルゴリズムを実験したり改良したりという開発を担当し、プログラミングでの実装は別の方にしてもらうという役割でチームが組まれました。自分が考案したのに最後まで一貫してできないことが悔しくて…。その方みたいにプログラミングができるようになりたいという思いが強くなっていきました。

―やっぱりエンジニアにはプログラミング力が必要ということですね

実感しましたね。ちょうどその頃、アルゴリズムの参考にしていた機械学習やAIが世間で盛り上がってきて…興味もあるし数学の知識も活かせる、プログラミング力も必要な分野と知り、挑戦してみたいと思うようになりました。

―それが今のキャリアをみつけた瞬間だったんですね!

でもまだ流行り出したばかりで、勤めていた地方のアウトソーシング会社には、そういったプロジェクトはなかったんです。求人を見てもやっぱり東京ばかりで、尚且つ経験者の募集が大半でした…。

―やりたくても東京以外では難しい。どういうアクションを起こされたんですか?

今では地方にもスクールとかありますし、オンラインも発展してますけど、当時は初心者のための学習環境はそこまで整ってなくて…勉強するなら東京でスクールに通うのが一番ちゃんとした知識を得られそうだと思ったんです。転職するにしろ「家で勉強してます」というよりは「スクールを卒業しました」の方が説得力があるとも思いましたしね(笑)。「これはもう東京に行って勉強するしかない!」と退職、思い切って引っ越しました(笑)。 

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―すごい行動力ですよね。東京進出はいかがでしたか?

スクール開校までは、Pythonの入門書を読んでプログラミングを書いたり、SQLの本を読んだり、予習教材で自主学習してました。

授業では、機械学習の理論やPythonの実装、アルゴリズムやデータ前処理、ハイパーパラメータチューニングなどを学びました。レベルが高く、予習復習はかなりしましたね。スクールがない日も関連するニュースやブログの記事を見つけては読むのが習慣になってました(笑)。

―計画的な自主学習にスクールでの勉強、知識はかなりついたんじゃないですか?

「この半年間はがっつり勉強するぞ!PythonとかR言語を使った機械学習やデータ分析の仕事に就くぞ!」という思いでひたすら頑張ってたので、途中で脱落する人や最終試験不合格な人が半数以上いる中で、最終試験に一発合格し、卒業できるくらいには、知識をつけることができたかと思います(笑)。

エンジニア人生、2度目の壁。

―いよいよ、憧れのデータサイエンティストになるために転職活動を始めるわけですね?

はい。でもプログラミングの実務経験がないということが、ここでも壁になったんです。実際にプログラミングでやっていくという仕事ですので…。やっぱり、まず実務経験を積まないといけないか…と考え直してたときに、エスユーエスの求人を見つけました。

―課題に向き合った結果、エスユーエスに入社することになったということですか?

前職と同じアウトソーシング会社ですが、ここには未経験でもプログラミングに挑戦できるプロジェクトがたくさんあり、実務経験やスキルを身に着けるには最適だと思ったんです。AIや自動運転、VRなどの最先端プロジェクトを増やしてるところで、うまくいけば就業できる可能性もあると知り、ここならと入社を決めました。

―最初はどんな仕事を?

それが…、まさかの一発目からAI系の仕事に就くことができたんです(笑)。

私も「実務経験がないのに大丈夫なの?」って不安でしたけど、クライアント先の上司もそれは感じていたんじゃないかと思います。きっと担当営業さんが陰で頑張ってくれたんですね。

―運も味方につけた感じがしますね(笑)。

ありがたいです…。就業してまず、Pythonを使った画像処理の業務を任せてもらえることになりました。画像処理は未経験でしたが、認めてもらうために家でも必死に画像処理の勉強して、Pythonでコーディングして、ってやってると割とすぐに習得できたんです。追いつめられると人間ってすごいですね(笑)。無事その案件を乗り切ると、また「Webスクレイピング知ってる?」と新しい案件を振ってもらえました。認めてもらえたのかなと嬉しかったですね(笑)。 

―頑張りが功を奏したんですね!で…、スクレイピングは知ってたんですか?

それがたまたま昨年、エスユーエスで開催しているAIデータサイエンス研修に参加した時にやったんです (笑)!基礎的なところから、スクレイピングやコードの書き方テクニックなど、スクールでは学べなかった高度なことも教えてもらうことができ、有意義でした。こういう研修を会社がやってくれるっていうのは、結構ありがたいですね(笑)。

そのおかげもあり、自動的に毎日、Web上のデータを収集しExcelとして出力してくれるスクリプトをすぐに作ることができました。そうやって、できることを少しずつ増やすことで認めてもらえ、今は予測モデルやデータ可視化ツールの作成、画像処理やその他のデータ分析など幅広い業務に携わらせてもらうことができているのかもしれません。

やっとチャンスを掴んだ気がします。

―チャンスをものにするために、どんなことをされてるんですか?

まずは、スキルアップのための情報収集ですね。本屋で常にトレンドをチェックするようにしています。こういう仕事をするには、この知識が役に立つなっていう情報は調べて勉強するようにしています。今の仕事になってからは、特に意識するようになりましたね。Twitterとかも意外と役に立つんですよ(笑)。トップクラスのデータサイエンティストや機械学習エンジニアをフォローしておくと、最先端の情報も得られますし、そこまで求めずとも、どこかの勉強会で使われた資料や技術記事を見るだけでも違ってくると思います。

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最近は資格取得にも力を入れてます。昨年G検定に合格したので、E資格や統計検定2級にも挑戦していこうと思っています。今度はエスユーエスの資格取得支援制度を利用しようと思います。E資格は特に受験料高いですから(笑)。

―キャリアプランは東京に進出した時と変わらずですか?

データサイエンティストって定義が結構曖昧で…卓越したスキルや豊富な知識を持った世界トップクラスの研究者から、企業に属しExcelで簡単なデータ分析をしている人も、広くいえばデータサイエンティストと言える場合もあります。もっと精進して「多くの人からデータサイエンティストや」と認めてもらえるようになるのが今の目標です。

―ゴールには近づいてますか?

ありがたいことに、目指している方向性に沿ったプロジェクトに就くことができました。その環境の中で「これ知ってますか?」と聞かれた時に、「知ってます、できます」と自信もって答えられるように、日々勉強を欠かかさず知識を増やして、どんどん仕事を任せてもらいたいです。特にこれからの時代、実力主義がより顕著になっていくはずですから、生きていくためにもそこは欠かせないと思っています。そうすれば夢は叶うと信じています!

 

 ―世の中の動きにアンテナを張り、目標を高くもって挑戦している姿が印象的でした。何度壁にぶつかっても、自身の課題に向き合い対策を練って乗り越えてきたからこそ、チャンスを掴むことができたんですね。誰もが認めるデータサイエンティストになれるよう、長田さんのこれからの活躍を楽しみにしています!ありがとうございました。



(E-30!!!編集部 猪熊)