「Uber Eats」は最新テクノロジーの象徴。激動の時代におけるエンジニアの在り方とは

 

f:id:SUS-003:20200423134634j:plain最新技術が続々と。激動の時代におけるエンジニアの在り方とは

新型コロナウィルスの感染拡大によって、仕事への取り組み方、休日の過ごし方などライフスタイルが変化しています。そんな人々の変化に応じて、世界中のエンジニアたちが我先にと技術開発に挑んでいるのはご存じでしょうか。

 

次々と生まれる最新テクノロジー

 

日常でマスクを着用することが当たり前となった現在。スマートフォンのロック解除をはじめとする顔認証システムは、マスクを外さないと反応をしないため、ちょっとした不便を感じている方もいるのではないでしょうか。そんな時、中国ではいち早く「マスク着用を前提とした顔認証システム」が開発されていました。サーモグラフィー技術で体温測定を行うと同時に、マスクをしたまま入場できるというゲートシステムです。なんと顔の識別率は99.3%と非常に高い精度を誇り、さらには、マスクをせずにゲートを通ろうとすると「マスクをしてください」と表示されるとのこと。健康管理に強く取り組む姿勢が伺えます。

驚きなのが、これは新型コロナウィルスの感染拡大を受けて急遽つくったシステムだというのです。1か月半ほどで実用化に至ったそうで、計り知れないエネルギーが必要だったことが想像できます。現在では続々と、日本企業も同様のシステム開発に着手しています。

 

また、「3密」を避けるため会議やイベント、展示会などをオンラインへ切り替えた企業・団体も多いでしょう。しかし、タイムラグが発生してしまったり、伝えたいことをありのまま伝えられなかったり…大きな問題は無いものの、ちょっともどかしい。そんな気持ちを抱える場面もありますよね。そこで、現在急激に世間からの関心が高まっているのが「VRイベント」です。参加者はアバターをつくりVR空間に参加することで、あたかもその場にいるかのような臨場感や一体感を感じることができるといいます。

バーチャルイベントプラットフォーム「cluster」では、VRイベント開催に必要な「会場」「演出」「スクリーン」「音響」「サーバー」等の一式を企業向けに提供し、即日開催が可能なパッケージを用意。電気通信業界の大手である株式会社KDDIはこのプラットフォームを活用し、開催予定だったイベントをVRイベントへ切り替えると発表を行いました。この先、VRを活用した新しいイベントスタイルがもっと身近になることでしょう。

 

特別な環境でなくとも、私たちは日々最新技術と触れ合っています。 現在“巣ごもり”により注目が集まっている業界、フードデリバリーサービスはそのひとつです。こちらも以前からあるサービスではあるものの、生活スタイルの変化によりニーズが急増しています。家にいながらお店選びや料理選びができ、簡単な操作で注文・配達・集金まで完了できるため非常に便利なサービスです。レストランによっては、デリバリーの売上が8割以上を占めるといった状況にもなっているそう。実は、こういったサービスの実現にも最新のICT技術が多数活用されていることをご存じでしょうか。

 

 

今、注目が集まる“フードデリバリー業界”って?

代表的なフードデリバリーサービスには「Uber Eats」「出前館」などが存在します。最近では中国のタクシー配車アプリ「DiDi」がフードデリバリーサービスに参画したり、Google社もGoogleマップ、Google検索などからデリバリー注文をできる機能を追加する(日本版はデリバリー可能店舗の検索のみ/2020年4月現在)など、大手各社の競争が加熱しています。

 

もとより、フードデリバリー業界はここ数年で急速に存在感を強めていました。2018年時点で市場規模は4084億、前年と比べ5.9%も増加しており、今後もさらに拡大していくことが予想されます。これまでは自宅で調理する手間を省くため、たまにしか利用していなかった方々が、これを機により豊かな食生活に気づくことで、勢いを持って浸透していくことは確実でしょう。

 

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NPD Japan, エヌピーディー・ジャパン調べ

しかし、ピザや寿司、どんぶりなどの出前サービスは昔からあるものです。なぜ近年、大手各社がこぞって参入をするまでに関心を高めているのでしょうか。それには、ICT技術が発展した現代だからこそ実現できる高度なサービスであることが理由として考えられます。

 

ワンタップに詰め込まれたハイレベルな技術

私たち注文者から見ると「注文して、お金を払い、商品を受け取る」といった一連の流れに従来の出前と大きな違いはないように思えます。ところが私たちの手元に商品が届くまでには、さまざまなハイテクノロジーやビジネス戦略が使われていたのです。業界大手「Uber Eats」を例にみていきましょう。

 

1.プラットフォーム戦略の活用

大手ショッピングサイト「Amazon」「楽天市場」に代表されるプラットフォーム戦略をフードデリバリーにも活用していることが大きな特徴のひとつ。フードデリバリープラットフォームは、「注文をする人」「レストランパートナー」「配達パートナー」の3者により構成されています。

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Uber Eatsにおけるフードデリバリープラットフォームの構造

 

 このプラットフォームを介することにより、「注文をする人」はお店やメニュー選択の幅が広がり、「レストランパートナー」は料理を用意する以上のサービス提供が必要となくなるため負担が減るだけでなく、デリバリーによる新たな販路の確保が可能となりました。そして「配達パートナー」はより効率的に報酬を得ることができるといった構造です。これはUber Eatsだけでなく、近年のフードデリバリーサービスでは一般的な手法として活用されています。

 

2.AIの活用

注文者がアプリ上でオーダーを行うと、すぐに到着予想時間が表示されますが、いったいどのように計測されているのでしょうか。実は、このような待ち時間の最適化には、高度なAI技術が使われています。

 

例えば「サラダは早く作れる」「ステーキは時間がかかる」といった内容をAIに学習をさせ、それを繰り返し膨大なデータを計測することで平均値を割り出します。それに加え、直近の料理提供時間、曜日や時間帯による提供時間の違い、レストランから配達先までの推定所要時間、配達員の移動手段による時間の違いを計算することで、私たちエンドユーザーに「待ち時間」として表示されているのです。

 

その他に、配達パートナーの選定に関してもAIが利用されています。位置把握はもちろん、配達実績の多さ、応答率の高さ、利用者からの評価などの指標が設定されています。例えば、レストランまでの距離が同じ配達員が2人いるとしましょう。その時「配達実績が1件より100件の人」、「過去に何度か配達依頼を断った人よりかもいつも応答してくれる人」、「対応が丁寧など利用者から高評価を獲得している人」などを瞬時にAIが判断し、配達指示を出す仕組みとなっているのです。

 

3.ダイナミックプライシングの活用

需要と供給に応じて価格を変動させる仕組みです。こちらは既に宿泊施設や飛行機チケットなどの価格設定で使用されていますが、これをUber Eatsでは悪天候や注文の多い時間帯・地域でフィルタリングすることにより、配達員の報酬が変動する仕組みとなっています。配達員のアプリ画面では「今この地域に行けば報酬が〇〇倍アップする」といった表示がなされ、需要と供給のバランスを保つことに成功しています。

 

4.レコメンド機能の活用

「この商品を買った人はこちらもおすすめ」など販促を担うレコメンド。しかし、注文する人のコンバージョンのみを重視してしまうと、注文・閲覧履歴からその人が好きな評判の良いレストランばかりが表示されてしまいます。すると、「以前カレーを注文したからカレーばかり表示されてしまう」「新規出店したけどアプリ内で表示がされず注文がこない」といった両者の機会損失だけでなく、「注文が集中しすぎて料理が提供できない」「一部のエリアの配達パートナーが不足してしまう」といったサービスの偏りが生じるかもしれません。それを解消するため、Uber Eatsではレコメンド機能を発展させ「注文をする人」「レストランパートナー」「配達パートナー」の3者がより公平にサービスを利用できるような仕組みをつくっています。

 

Uber Eatsでは注文回数が少ないレストランに高いスコアを持たせ、そのスコアに基づいてアプリ内での表示順位を決定しています。そうすることで新規出店のレストランも公平な機会を得ることが可能となりました。注文回数が増えるごとにスコアが少しずつ減少していくので、味や盛り付けなどのサービス評価、店舗の営業時間、料理の提供時間などが重視されるようになるのです。

 

また配達パートナーに対してもレコメンド機能は活用されています。配達パートナーの移動速度や進行方向から位置予測を行い、料理が準備されるまでの時間予測と、その時点での配達パートナーが多いエリアのレストランの表示順位を上げることで、稼働率の向上を実現しています。こういったレコメンド機能を活用することで、注文者も履歴に基づいたおすすめだけでなく、より多様性を持ったおすすめレストランを利用する選択肢が生まれました。

 

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最近では、レストランに贈れるチップ機能が日本版でもスタート

 

普段我々が利用する便利なサービスは魔法のように一瞬で要望を叶えてくれますが、その裏ではこのような、数々の高度なテクノロジーが詰め込まれているのです。

 

これからのエンジニアの使命とは

今大注目のフードデリバリー業界、Uber Eatsの技術を例に挙げましたが、この世は常に激しく移り変わり、とどまることなく変化するもの。実際にUber Eatsに加盟しているレストランパートナーでは、「直接顧客とコミュニケーションを取れないことが現状の課題」といった話もあり、便利なサービスの裏では新たな課題も生まれているそうです。

 

昨今のような急な事態をはじめ、この先も日常、仕事、人間関係、健康管理などあらゆる面において変化していくことが予想されます。その度に新しいサービス、新しい課題が生まれることでしょう。しかしエンジニアとしては、そんな時こそ腕の見せ所。

 

傍観者でいるのではなく、日々挑戦をやめずに技術を磨くこと、人々に変化をもたらす技術開発に挑んでいくことこそが、エンジニアとしての使命となるのではないでしょうか。その努力はきっと、多くの人々を救うことになるでしょう。

 

(E-30!!!編集部 安達)