変化の激しいAI時代。あなたは必要とされる人材ですか?

f:id:SUS-003:20200529101340j:plain

 

「10年後に半数の仕事がなくなる!」の真実

現在、第三次AIブームが到来しています。ディープラーニングの登場による技術の進化は凄まじく、私たちの日常にも多く活用されるようになってきました。

 

特に少子高齢社会となっている日本では、労働力を補完するために人工知能やロボットを活用することを受け入れていかなければなりません。そうなった場合、2030年にはなんと日本における仕事の49%が、AIによる代替可能性が高いといった研究結果が出ているのです。これは米国、英国と比較してもより高い数値となっています。

 

出典:日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に(野村総合研究所)
出典:日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に(野村総合研究所)

 

なぜ、欧米諸国に比べて日本の数値が高いのでしょうか。これには、「日本の中小企業の生産性」が理由のひとつとして考えられます。

 

日本は中小企業比率が全体の99.7%です。アメリカでは99.7%、ドイツでは99.5%、イギリスでは99.9%と、欧米諸国と比較すると、実はほとんど差がありません。しかし、「生産性」といった点でみるとどうでしょうか。日本の中小企業で働く労働者は、全体の労働者の約70%を占めているのに対し、アメリカでは約50%と日本より低い数値となっているのです。つまり、欧米諸国と比較すると、日本の中小企業は成果を上げるためにより多くの従業員を雇用している=生産性が低いことがわかります。これにより、欧米では既に自動化や機械化が進んでいる仕事を、日本ではまだ人の手で処理していることが推測できます。

 

しかし捉え方を変えれば、まだまだ生産性を向上させる余地があるということ。日本産業を支える中小企業こそが、これからのAI時代の可能性をさらに拡げる役割を担っているとも言えます。

中小企業が直面するAI導入の壁

AIというと、身近なものだとiPhoneに搭載されている音声応答アプリケーションの「Siri」や、アイロボット社開発のお掃除ロボット「ルンバ」などがあります。商品・サービスとしてのAIは、既に身近なものとなりました。しかし、「企業における労働力」といった点では、どの程度AIの導入が進んでいるのでしょうか?

 

f:id:SUS-003:20200529094009p:plain

出典:総務省 令和元年版情報通信白書

 

これは業務におけるIoT・AI等のシステム・サービス導入・利用状況を総務省が調査したグラフです。そこでは導入している企業はわずか12.1%という数字が出ており、導入があまり進んでいないのが実態です。

 

導入していない理由としては、「使いこなす人材がいないから(37.9%)」といった回答が最も多い結果となりました。その他にも導入コストなどの費用面や、活用範囲が分からない・不明確などの回答が上位となっています。こうした理由から、「AI人材の確保・育成」や「AIへの理解や知識が不足している」といった課題があることが浮き彫りになりました。

f:id:SUS-003:20200529094624p:plain

出典:総務省 令和元年版情報通信白書


特に中小企業では上記のような課題は深刻です。AI人材は世界的に不足しているため、優秀な人材、開発費などはGAFAのような大手企業に集まってしまいます。そのため、導入したくても人がいない、費用が足りない、何から解決をしていけばいいのかわからない…といったスパイラルに陥ってしまい、なかなか導入ができないといった悩みを抱える経営者も多いのではないでしょうか。

 

そこで、実際にAIを活用している中小企業は、どのようなことに活用しているのか少し事例を紹介したいと思います。

 

日本政策金融公庫の報告によると、兵庫県にあるスーパーマケットやコンビニエンスストア等を複数店舗運営している中小企業では、発注業務をAI化することで大きな成果を得ています。様々なデータを元にAIが発注量を提案してくれるシステムです。これまで特定の社員のみが勘や経験に頼って発注をしていたところを、誰でも予測を参考に迅速な発注ができるようになり、画期的な業務効率化に成功しました。結果は、数字としてしっかり現れ、導入後はミスやロスが減り、粗利益率が4~5%改善されたとのこと。システムの開発から実用化まで約1年、費用は数千万円がかかったそうですが、約1年間で十分回収できたとの試算が発表されています。

 

また、利益の最大化だけでなく、従業員の能力やモチベーションを高める効果もあったことは特筆すべきでしょう。売り場担当の誰もが発注業務を行えるようになったので、業務の効率化に繋がりました。すると、顧客との対話や売場づくり、イベントの企画など、「人ならでは」の創造的な仕事に多くの時間を使えるようになったのです。

 

その他にも、

  • 製造工程における画像検査システムで検品作業の精度・生産性の向上に成功
  • 看板やディスプレーの効果を、画像解析システムで見える化に成功

など、中小企業がAIを導入することによって業務効率化に成功した事例は続々と生まれています。

 

AI活用に欠かせない能力を持つキーマンとは

このような成功事例はもちろんあるものの、実際にはAIプロジェクトのほとんどが失敗に終わってしまうといいます。例えば、「実際に開発を進めていたが、求めている精度のものができずプロジェクトが頓挫してしまった」、「導入をしたものの、誰も使う人がおらず無駄になってしまった」など、そのような例が多々あるのです。だからこそAIを導入する際は、自社の課題を的確に把握し活用範囲を決めていくこと──つまり、「AIをデザインすること」が肝となります。

 

とはいえ、どのように「AIをデザインする力」を学んでいけばよいのでしょうか。例えば、AIの基礎知識や活用事例を学べる「文系AI人材になる ―統計・プログラム知識は不要/野口 竜司 (著)」をはじめ、文系・理系問わず多くの書籍が出版されています。そういったものから、AIの基礎知識やこれまでの事例を学んでもよいでしょう。また、当社ではこのようなニーズに応えるため、「AIデザイナー育成講座」を新たにスタートしました。

f:id:SUS-003:20200529094914p:plain

AI人材ピラミッドの図

本講座は、AI人材の中でも「AIデザイナー」に特化した育成プロジェクトです。「AIデザイナー」とは、前述した「AIをデザインする力」を身につけた人材を指します。具体的には、AI活用の企画や課題設定、運用など、プロジェクトを成功に導くために、AIの全体像を把握しているスキルを持った人材です。

本講座では、データサイエンティストの古屋俊和氏を講師に迎え、オンライン・座学の2つの形式で講座を展開しています。AIの基礎知識をはじめ、「AIをどこに導入したら効果的か?」といったAI活用における基本的な思考方法や、実際にAIを実装するにあたり必要なスキルやテクニックなどをお教えしていきます。

 

無料会員登録でオンライン講座(概論)の第1回目を視聴できます。気になる方はぜひ視聴してみてください。

 

▼AIを活用できる人材を育てる AIデザイナー育成講座<概論・本論>

https://ai-designer.info/

 

AI時代にリーダーとして求められることは?

f:id:SUS-003:20200529093449j:plain

AIの発展は、私たちの暮らしや仕事に大きな進化をもたらすでしょう。そんな未来を実現していくために、会社組織やチームを率いるリーダーとしては何ができるでしょうか?

 

これからは様々な領域において、AI関連のプロジェクトが続々と生まれてくることが予想されます。しかし、AIは非常に変化が早く、数カ月先には新たな手法が出ているなんてことも当たり前です。それについていくだけでは遅れをとってしまいます。まったく想像もできなかった業界からイノベーションが始まることも茶飯事。だからこそ様々なプロジェクトを導く者として、他のエンジニアよりも幅広い好奇心を持ち、常に社会を見渡して一歩先に情報を手に入れる──そんな姿勢や意欲こそが、今大事なのではないでしょうか。

 

総務省の「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」によると、AIの活用が一般化する時代における特に重要な能力を有識者に尋ねたところ、「チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質」「企画発想力や創造性」を挙げる人が最も多かったのです。しかし、同様の質問を就労者に対して行ったところ、「コミュニケーション能力やコーチングなどの対人関係能力」が求められるといった回答した最多であったという調査結果が報告されており、有識者と就労者の間で意識に差があることがわかります。もちろん、コミュニケーション能力は全ての仕事において必要となる重要な能力なのは間違いありません。しかし、新領域に挑戦するためにはコミュニケーション能力だけでは乗り切れないのです。

 

このような意識の差は、行動へのスピード感やフレキシブルさにも表れると思われます。変化が早い業界だからこそ、わずかな行動の差できっと他のエンジニアと瞬く間に大きく差が開いていくことでしょう。だからこそ、「このブームに取り残されない、むしろ私が牽引していく!」といった気持ちで向き合える人材こそが、今必要とされているのです。

 

(E-30!!!編集部 安達)

 

 

ページの先頭へ
ページの先頭へ