技術アウトソーシング企業だからこそ可能になる障がい者支援もある――株式会社エスユーエスのSDGsの一例

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私たちの社会が直面している様々な課題を解決し、サステナブルな社会を実現するために2015年に国連サミットによって採択された17のゴールSDGs(持続可能な開発目標)について皆さんご存知のことと思います。当メディアの運営会社である株式会社エスユーエスは、このSDGsのうち、「4.質の高い教育をみんなに」「5.ジェンダー平等を実現しよう」「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「10.人や国の不平等をなくそう」の5つについてすでに具体的な取り組みを行ってきています。なかでも、創業当初から掲げる社是の1つ「人の成長を支援し、社会に貢献する」の通り、教育サポートに関してはかなり力を入れてきました。その表れのひとつが障がい者支援。2022年2月に実施する最先端メタバース(VR空間)技術などを使った支援に至るまでのエスユーエスの取り組みをご紹介します。
 
 
 

ひとつの縁がつながり、社外の障がい者の方々への支援が広がった

みなさんは九州長崎に拠点を置く知的障がい者のプロ和太鼓集団をご存知でしょうか?1987年に地域の余暇サークルとして発足後、パラリンピック閉会式などでその実力を世界に示し、2001年にプロとしての活動をスタート。今では世界を舞台に年間100以上の公演を行っています。そんな彼らの京都公演を、あるご縁から主催させていただくことになったのが2003年。創業4年目、経営が軌道に乗り始めるとともに「企業として何か社会に貢献できることをしたい」と考えていた矢先の出会いでした。

この公演の主催が最初の一歩となり、同じく九州を本拠地とする障がい者アスリート支援団体・シーズアスリートへの協賛を開始して、のちにロンドンパラリンピックで日本人最高位の4位に入賞する車いすランナーの方ともご縁がつながります。京都で行われる「天皇杯全国車いす駅伝」には当社社員数十名が手作りの横断幕を持って応援に駆け付けるのが年に1度の恒例行事となりました。

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2003年「天皇杯全国車いす駅伝」

さらに、ロンドンパラリンピックの金メダリストで東京2020パラリンピック日本選手団副主将を務めたゴールボール選手・浦田理恵さんともこの頃に出会いがありました。彼女がチームメンバーとともに遠征に来られた際は食事会を開き、宿泊所を手配するなどしてその活躍を応援する一方、エスユーエス内で社員に向けて講演してもらうなど、ハンデがある方への理解を深める社内啓蒙活動に一役買っていただきました。

 

 

障がい者の方々の直接雇用を本格化。
技術アウトソーシング企業の強みを活かした就労移行支援事業を開始

このようにして全社に社会貢献への理解を浸透させていった2014年、障がい者の雇用促進を図るための特例子会社ストーンフリーを設立します。京都の企業としては7社目。特例子会社を持つのは大手ばかりのなか、従業員1000名未満の企業としては異例の取り組みでしたが、外部の方々を応援するだけではなく障害のある方の直接雇用を本格化させようと設立に踏み切りました。

手始めに展開したのはものづくり事業です。障害のある方々が手掛けたフェルトやニット等のハンドメイド製品を京都府や京都市が運営するショップで販売していただくだけではなく、大手小売チェーンや通信販売などの民間企業への販売ルートも開拓していきます。さらに3年後の2017年には、ストーンフリーにていよいよエンジニアの7割がIT系に携わる技術アウトソーシング企業の子会社としての強みを活かす就労移行支援事業へと乗り出しました。

就労移行支援とは、近年社会問題にもなっている発達障がいや精神障がいがある方に対し、一般の事業所で働けるように実践的なトレーニングや履歴書作成や面接練習などの就職活動サポート、さらには就職後の定着支援までを行う事業です。

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なかでもストーンフリーが特化しようとしているのは、プログラマやWEBクリエイター、PCオペレーター職への就労支援。特に発達障がいの方たちはコミュニケーションが苦手な反面、集中力が非常に高かったり、発想がユニークな傾向があり、それを活かした就労を叶えようと考えたのです。そこで活きてくるのが、親会社エスユーエスが過去22年余りにわたって積み上げてきた未経験からのエンジニア育成のノウハウです。実際に、プログラミングやWEBデザイン、各種PCオペレーションなどの学習メニューを独自に作成し、エスユーエスのITエンジニアや外部のプロフェッショナルによる指導、オンライン自己学習などを通じて職業トレーニングを実施。事業開始からの4年間で43名の就労を実現し、その1年後の定着率は83%と全国平均を大きく上回っています。ありがたいことに各方面からの評価も上々。いよいよ2022年2月には、同じ京都市内に2つ目の事業所を開設することとなりました。

 

 

エスユーエス人事部長に聞く。
ストーンフリーでトレーニングを積んだ障がい者の働きぶり

そして、この43名のうち5名が、親会社であるエスユーエスで働いています。彼ら彼女らは、どんな仕事にどのように取り組んでいるのか。人事部の林田部長にお話を伺いました。

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株式会社エスユーエス
人事部 部長
林田 淳吾(Hayashida Jungo)

2019年入社。大手IT企業の人事部門・広報部門での経験を経て、エスユーエスに入社。

―人事部に就労した3名の方はどのようなお仕事を担当されていますか?

実は人事部というのは社員を始め社内外からありとあらゆる問い合わせや相談が舞い込んでくる部署なのです。たとえば、社員の福利厚生に関することであったり、各種法令や規程、制度に関することであったり。そういった幅広い内容に的確に応えられるように調査や資料作成をしていただいています。また、約1700名の社員の膨大なデータが集まっているので、それらの入力や用途に合わせた編集などもお願いしています。基本的にはひとりで集中して取り組めるパソコンでの作業がメインになります。本人の障がいの商況に合わせて、テレワーク(在宅勤務)を含めた柔軟な働き方をしていただいています。

―実際に一緒に働いてみていかがですか?

Excelの操作など実務面のスキルを身につけて来られているので、安心して仕事をお任せすることができます。仕事に対するモチベーションに関しては最初若干の不安があったのですが、就労後にはそんな心配は必要なかったとわかりました。みなさん自分の中でルーティーンができていて、自らをきちんとコントロールされていますね。これはストーンフリーでしっかりとしたプログラムに沿って指導されているからこそだと思います。

―働く姿勢に関してはいかがでしょうか?

彼ら彼女らは、たとえ人より苦手なことが多くても、自分にできることや得意なことで精一杯周囲に貢献したいという想いを強く持っているように感じています。たとえば、事務処理をそのまま行うだけではなく、Excelのマクロで集計の効率化ツールをつくって、全体の作業がスムーズに進むようにしてくれたり、情報システム業務にも興味を持って学びチャレンジしてくれたり。前向きな姿勢で戦力として活躍してくれています。

―それは周囲にも良い影響がありそうですね。

そうですね。前向きさが職場全体のモチベーションアップにもつながっていますし、その一生懸命さが見えるからこそ、周囲の社員も何かあれば自然とサポートするようになっています。つまり、「優しさ」が生まれますね。また、私自身は人事部を預かる者として、「配慮はするけど、遠慮はしない」ことを常に心に留めています。実際に、それぞれの事情に合わせた対応を行っていますが、障がいがあるからといって中途半端な仕事で良しとすることはありません。それでこそ、彼ら彼女らも自分自身が誰かの役に立っている「やりがい」や「生きがい」を実感できるはずですし、周囲の社員も納得してくれます。障がいのある方もそうでない方も、誰もが持てる力を十分に発揮できる職場環境を作っていきたいですね。

 

 

3年前から投資を続けたAR/VRの技術があるからこそできる社会貢献に挑戦

一方、この就労移行支援事業と並行して、エスユーエスが取り組み始めたことがあります。それは、AR/VRサービスの本格的な開発です。2018年にはアメリカのAR/VRトレーニングのリーディングカンパニーとの連携を進め、2019年には数億円を投資してAR/VRを活用した知識移転ソリューションを提供する戦略子会社(株)クロスリアリティを設立。バーチャル空間や拡張現実での企業研修やオープンキャンパスなど様々なサービスやコンテンツを開発し始めていました。そんな2020年に訪れたのがこのコロナ禍でした。

人と人がリアルに会う機会が大幅に減り、意図せずひきこもり状態に陥る人が増えました。読売新聞オンラインが発表した経済協力開発機構(OECD)の調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で日本国内でもうつ病・うつ状態の人の割合が2倍以上に増加したそうです。そこで私たちは「このAR/VR技術を用いて、何か社会に役立つことができるのではないか」と考えました。

そして今回、2022年2月4日に初めて試みようとしているのが、ひきこもりがちな方を対象とした「アバター参加で顔を出す必要がない『バーチャル空間』セミナー」です。メインスピーカーとして前述の東京2020パラリンピック日本選手団副主将・浦田理恵さんをお迎えし、20歳の頃に急激に視力を失った浦田さんがどのように小さな半歩を踏み出せたのかを伺ったあと、トークルームでグループワークを行います。実はひきこもりの方を対象にしたイベントはたくさんありますが、会場に出向くことが難しかったり、顔や名前を出すことに抵抗があったりして、参加には高いハードルがあります。しかし、多くの人が「自宅からアバターで参加できるなら……」と前向きに考えてくれれば、このイベントがまさに「半歩」を踏み出すキッカケになるのではないかと期待しています。

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docs.google.com

IT領域での最先端技術をもつ技術系アウトソーシング企業だからこそできるSDGsへの取り組みがある。私たちエスユーエスはそう考えます。今回紹介した障がい者支援はそのほんの一部分。今後とも幅広い活動を通じて社会へ利益を還元し、「人と企業の笑顔が見たい」という経営理念、そして「人の成長を支援し、社会に貢献する」という社是に恥じない企業として、創業から22年余りお世話になってきた京都の地を中心にしっかりと恩返しをしていくつもりです。そして、そんな他の取り組みの数々についても、またどこかでご紹介させていただければと思っています。

 

(E-30!!!編集部)

 

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